起業家の家系に生まれ育つ
両親が台湾人の林達CEOは、起業家の家系に生まれた。大学卒業後は「商売の基本を身につける」ために伊藤忠商事に入社。その後、学生時代の友人で、自然言語処理技術に詳しい有馬幸介氏(取締役CTO)とストックマークを起業したのは「貿易や旅行関係の事業を手がける周囲の大人たちの影響を受けた自分にとって自然な流れだった」と話す。
ストックマークの事業は、意思決定のサポートを軸とする。現在、さまざまな業種・業態の企業ユーザーが必要とする情報を、国内外の専門メディアの報道資料や技報などの公開情報から集めて、ユーザーの置かれている事業環境を可視化するサービス「Astrategy(エーストラテジー)」を手がけている。
国内のBERT研究で先端を行く
起業して間もない2018年、グーグルから自然言語処理の新しい言語モデル「BERT」が発表され、言語解析が劇的に進化した。Astrategyの開発に生かし、昨年は社内の技術陣が「BERTによる自然言語処理入門」(オーム社)を上梓した。「国内のBERT研究で最も先端を行く企業」と自負している。
新サービスの開発も視野に
将来的には「顧客企業が運営するSNSやエンドユーザー・コミュニティから得た顧客の声、従業員のスキルの可視化といった分野にも分析対象を広げていきたい」と語る。
日本が経済成長するには「デジタル時代に即した新しい事業を起こすのが最も合理的」とし、外部環境の動向に加え、企業内部の変化にも俊敏に適応できるサービスの開発を視野に入れる。経済の活性化に向けて、磨いてきた自然言語処理の技術を役立てたいと願っている。
プロフィール
林 達
1986年、東京都生まれ。2011年、東京大学文学部卒業。同年、伊藤忠商事に入社。投資戦略策定や事業会社の管理業務に従事。16年、ストックマークを起業。代表取締役CEOに就任。
会社紹介
2016年設立、従業員数約70人。企業向けニュース集約サービス「Anews(エーニュース)」と、市場動向や競合の動きを可視化する「Astrategy(エーストラテジー)」を主力サービスとしている。