これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「RightTouch・長崎大都代表取締役」を取材しました。
ITと経営の掛け合わせに活路
情報系の学生だったとき、「自分よりはるかにアルゴリズムやプログラムコードに精通している同級生が多くいて、彼らを相手に勝ち抜くのは難しい」と自身の進路に悩んでいた。その頃、著名な経営コンサルタントであり、教鞭も執っていた瀧本哲史氏の授業を受けたことがきっかけで、「ITと経営を掛け合わせれば面白いことができるのではないか」と、経営コンサルタントの道に進むことを決意した。
既存顧客との関係をより太く
卒業後は晴れて経営コンサル会社に就職が決まり、食品メーカーの新規事業の立ち上げ支援や、交通運輸業の事業再生などに従事。最新のデジタル技術を駆使すれば企業価値の創出につながることを実体験として学ぶことができた。大学で情報系を専攻していたことを踏まえ、「経営コンサルタントで培った知見とITを組み合わせれば、もっと大きく日本経済にプラスの影響を与えられる」と考え、ITソリューションの道へと進む。
ITソリューション事業を立ち上げるに当たって目をつけたのが「国内の人口減少」と「顧客接点の重要性」の二つ。ネットやSNSの進展で製品やサービスのつくり手とユーザーの距離は飛躍的に縮まっており、かつ日本の人口が大きく減少するのが避けられない状況下で「いかに既存顧客との関係を太くするのかがビジネスを伸ばす上で重要な要素となる」と考えるに至った。
「負の顧客体験」を一掃する
顧客接点が円滑でないと「負の顧客体験」が蓄積され、新規顧客の開拓どころか既存顧客も逃げてしまう。これでは、いくら良い製品やサービスを開発しても顧客の心に響かない。Webを使ったサポート体制の強化や、Webと電話サポートを組み合わせて顧客対応を円滑にするソリューションを開発し、顧客接点を経営の中心に置く組織・経営改革を促すツールとして提供。「負の顧客体験」を一掃し、「日本企業の製品やサービスの良さが顧客に伝われば、国内外を問わずビジネスを拡大できる余地が広がる」と説く。
プロフィール
長崎大都
1990年、大阪府生まれ。2015年、京都大学大学院情報学研究科修士課程修了。同年、経営共創基盤入社。19年、プレイド入社。21年、野村修平氏と共同でRightTouchを創業。
会社紹介
Web顧客サポート「RightSupport by KARTE」や、Webと電話を連携する「RightConnect by KARTE」などを開発。IT企業プレイドのグループ会社だが、同社独自の資金調達も行っている。