その他
米CDWにみる直販ビジネス(下) セールスのエキスパートで差別化
2002/10/28 15:00
週刊BCN 2002年10月28日vol.963掲載
CDWコンピュータセンターズ社(イリノイ州ヴァーノンヒルズ、ジョン・エドワードソン会長兼CEO)のビジネスは、顧客ターゲットをSMB(中小企業)に徹底して絞り込み、個人顧客をほとんどもたないのが特色。
また、企業以外では、連邦政府、州政府、教育機関にも強く、売上全体の約20%をこの分野が占める。
■700-800万社の潜在顧客
現在の顧客数は36万3000社。これを企業規模別にみると、従業員1000人以上が11.44%、同500-999人が8.30%、同100-499人が34.23%、同50-99人が13.74%、同50人以下が25.97%、残り6.32%は「把握できず」となっており、文字通り中小企業がメインの顧客だ。
米国には700-800万社の中小企業が存在するといわれるが、この数字をエドワードソン会長兼CEOは、「可能性として700-800万の見込み顧客がいることになる」とみる。同会長によると、米国のIT市場は全体で4400億ドルに達するが、このうち中小企業向け市場は1600億ドルと約3分の1を占め、さらに「今後このマーケットセグメントは、まだ伸びる」と期待を示す。
■電話で最適システム提案
在庫の回転率を高めコストを削り、大手ベンダーがあまり手をつけたがらない中小企業に徹底して売り込む。
だが、それだけでは同社の成功は語れない。カギを握るのは、「アカウント・マネージャー」と呼ばれるセールス担当者の存在だ。
従業員のほぼ半数、約1300人を数えるアカウント・マネージャーは、高度な商品知識を備え、電話で顧客がどのようなシステムを求めているかを聞き、最適な商品の組み合わせをアドバイスし、商談に結びつける。もちろん、ただ電話を待つのではなく、「こちらからの働きかけでセールスにつなげる」(CDW幹部)ことをモットーとし、それぞれソフトウェアやストレージ、通信、セキュリティ、LAN/WANなどの得意分野をもつ。
アカウント・マネージャーの在職期間は1か月から14年までと多岐にわたるが、いずれも販売力を育てるため社内研修機関「CDWユニバーシティ」などで定期教育を受け、業務は中小企業、連邦・州政府、教育機関に区分され、セールスを展開している。
商品の出荷後は、電話でのサポートによりシステム稼働につなげるが、このあたりの事情は、日本と米国ではやや趣が異なる。
CDWと取り引きのあるNEC三菱電機ビジュアルシステムズの山由社長によると、「米国企業の経営トップは、勝ち抜くために、中小といえどもITに対するマインドが高い。簡単なシステムなら自社で立ち上げてしまう」という。また、米国にはシステムインテグレーターより小さい規模の、中小企業を相手にしたシステムビルダーという業者が存在し、こうした会社がCDWの得意先でもあるとみられる。
CDWではウェブセールス用に、企業向け、公共機関向けにそれぞれ専用サイトを一応は立ち上げているが、「ウェブセールスには、それほど力を入れていない」(CDW幹部)という。
これは、アカウント・マネージャーによる電話セールスの方が、ウェブによるセールスよりも明らかに1件当たりの商談単価が高いことの証左でもあろう。
■26種の販促カタログを用意
同社の競合企業は、「デルコンピュータなどの直販会社であり、コンプUSAなどではない」(同)という。
このため、デルなどに対抗しうるブランド力の浸透が必要不可欠で、実際、テレビやラジオ、印刷物などを通じたPRを積極展開している。
また、商品カタログも現在26種類を数え、企業向け、政府向け、マックユーザー向けなど顧客セグメントごとに細かく分け、顧客への食い込みに余念がない。
一連のマーケット戦略で、米国におけるCDWの知名度は、信頼度とともにかなり高まっている模様で、中小企業向けのIT直販会社として、確固たるポジションを築きつつある。(小寺利典)
CDWコンピュータセンターズ社(イリノイ州ヴァーノンヒルズ、ジョン・エドワードソン会長兼CEO)のビジネスは、顧客ターゲットをSMB(中小企業)に徹底して絞り込み、個人顧客をほとんどもたないのが特色。
また、企業以外では、連邦政府、州政府、教育機関にも強く、売上全体の約20%をこの分野が占める。
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