その他
米CDWにみる直販ビジネス(上) 中小企業に特化し、急成長見せる
2002/10/21 15:00
週刊BCN 2002年10月21日vol.962掲載
中小企業に的を絞った直販ビジネスで、着実に業績を上げている会社が米シカゴ郊外にある。1984年設立のCDWコンピュータセンターズ社(イリノイ州ヴァーノンヒルズ、ジョン・エドワードソン会長兼CEO)は、パソコンやネットワーク・周辺機器、ソフトなどを全米向けに販売。01年度(01年12月期)の売上高は39億6200万ドル(約5000億円)と、フォーチュン500社の中で414位にランクするまでに成長した。ビジネスモデルは一見すると単純だが、そこには「アカウント・マネージャー」と呼ばれるセールス担当者の存在、徹底したローコストオペレーション、ブランドの浸透戦略など、独自のビジネスノウハウが展開されている。(小寺利典)
■シカゴから全米に配送
シカゴ市内から車で約1時間余り。高級住宅地区の一角にあるCDWの本社は、建物の大半が配送センターと倉庫で占められている。パソコン本体からモニタやキーボード類、PDA(携帯情報端末)、液晶プロジェクタ、プリンタ、スキャナ、ネットワーク機器、電話端末、ストレージ機器、デジタルカメラ、各種ソフトウェアなど、取り扱い可能アイテムは約6万品種に及び、このうち常時流通する実働アイテム数は1万-1万5000品種となっている。
全米3位の都市シカゴは、穀物取引の街として発展してきたことでも分かるように、北米の交易の要所に位置する。この地の利を生かし、CDWからは毎日約30台のトラックが出立し、商品を全米の顧客向けに届ける。配送センターは本社1か所のみで、すべてをまかなっている。
■即日出荷率92%
顧客からの電話注文に応じて、各種アイテムをCDWのロゴマークが記載された段ボールに箱詰めし、出荷する体制をとっているが、当日注文分の実に92%を、その日の深夜零時までに発送完了する。在庫の回転率は高く、10-20日間で1回転、年間にして約27回転するという。
配送センター内はローラ型ラインが随所に配置され、注文に合わせ倉庫から取り揃えた商品群が、バーコードを頼りに顧客ごとのユニットに振り分けられ、それぞれの段ボール箱に梱包されていく。段ボール箱は、フタが閉じられる前に梱包内容が写真に撮られ、後の納品トラブルに備える段取りとなっている。
梱包ラインの月間エラー率は、総出荷品数170万個に対し、わずか30個にとどまるという。梱包ラインやバーコードなどの仕組みは、すべて自社で開発している。ちなみに、配送センター内は大勢の従業員が行き交い、一見すると労働集約的な印象を受けるが、自動化率をさらに上げるために莫大な設備費を投じるよりも、その分、人件費に委ねた方が効果的との判断があると思われる。
配送センターは昨年、規模を20万平方フィートから45万平方フィートへと倍以上に拡張された。これにより、年間売り上げで80億ドル規模のビジネスにまで対応できるようになった。
■今年度43億ドルの売上見込む
現在、CDWの従業員数は約2800人。84年の設立後、9年前にナスダック上場を果たしており、01年度の業績は売上高39億6200万ドル、売上総利益5億2700万ドル、営業利益2億6800万ドル、純利益1億6900万ドル。95年度に6億2900万ドルにとどまっていた売上高は、97年度に12億7700万ドルと初めて10億ドル台を突破し、以降、98年度17億3300万ドル、99年度25億6100万ドル、00年度38億4200万ドルと推移。今年度(02年12月期)は42-43億ドルを見込んでいる。
90年代後半の急成長ぶりに比べると、ここ1-2年は高原状態にあるが、これはIT不況のあおりで販売単価が低下傾向にあるため。注文1件当たりの平均販売額は、02年度第2四半期(02年4-6月期)実績で947ドルと、01年度通期実績の964ドルに比べ17ドル低下している。
この点についてエドワードソン会長兼CEOは、「業績の拡大幅は鈍化しているが、着実に伸びている」とし、IT各社が業績不振に苦しむなかにあっても、増収益基調が続いていることを強調する。
中小企業に的を絞った直販ビジネスで、着実に業績を上げている会社が米シカゴ郊外にある。1984年設立のCDWコンピュータセンターズ社(イリノイ州ヴァーノンヒルズ、ジョン・エドワードソン会長兼CEO)は、パソコンやネットワーク・周辺機器、ソフトなどを全米向けに販売。01年度(01年12月期)の売上高は39億6200万ドル(約5000億円)と、フォーチュン500社の中で414位にランクするまでに成長した。ビジネスモデルは一見すると単純だが、そこには「アカウント・マネージャー」と呼ばれるセールス担当者の存在、徹底したローコストオペレーション、ブランドの浸透戦略など、独自のビジネスノウハウが展開されている。(小寺利典)
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