その他
日本IBMのソフトウェア事業 技術面でも戦略が明らかに
2003/02/24 21:12
週刊BCN 2003年02月24日vol.979掲載
昨年7月、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)のソフトウェア事業部は、従来からIBMブランドだった「DB2」、「WebSphere」に加え、「チボリ」、「ロータス」を統合。4つの有力ミドルウェアをもつ事業部となった。(三浦優子●取材/文)
ソフトウェア事業部長に就任した堀田一芙常務取締役は、「ソフトウェア事業はIBMプラットフォームだけにこだわらない。主要プラットフォームの全てに対応し、IBM以外のハードウェアベンダーとも積極的にビジネスを行っていく」と、ソフトウェアを独立事業にすると明言。東京・渋谷にIBMのロゴをつけず、IBM以外のハードウェアを備えた検証施設「ソフトウェア・コンピテンシー・センター」をオープンするなど、従来とは異なるソフトウェア事業部になることをアピールしてきた。 しかし、4つのプロダクトを統合したことで、技術的にどのようなメリットが出てくるのかは、昨年時点では明らかではなかった。それがここにきて、ようやく明らかになり始めた。 堀田常務は、「2、3年かけて共通コンポーネントへと分解しつつ、開発を進める。さらに、4つのブランドそれぞれの新しいポートフォリオを明確にし、各ブランドの付加価値を高める」という。 4ブランドの新しいポートフォリオとは、WebSphereは従来のオンライントランザクションシステムという位置づけから、e-ビジネスの統合インフラとなり、DB2はリレーショナルデータベースからインテグレートインフォメーションインフラストラクチャと、システム統合などを行う際のミドルウェアとしての役割を鮮明化させる。 ロータスは、従来からあったメッセージング機能に加え、e―ラーニングなどの新しい機能を付加し、さらにアドバンストコラボレーションとして、コラボレーションのための機能を強化、拡大させていく。チボリは統合システムに加え、ビジネスインパクトマネジメントとしての機能を強化させる。 さらに、日本IBMが強化点として挙げているのが、中小企業マーケットの開拓である。IBMのソフトは大企業マーケットには強みを見せるものの、中小企業市場に対してはほとんど開拓が進んでいない。現在、堀田常務自身が中小企業に強いソフトメーカーや販売パートナーの開拓など、ビジネス面で中小企業マーケットの開拓を進めている。それに加え、ロータスでは新しいソフト「Next Gen Mail」を今年後半に投入する計画だ。 Next Gen Mailは、従来のノーツ/ドミノとは異なるターゲットを狙った製品で、「ロータスの役割はコラボレーション機能の提供だが、中小企業ユーザーや大企業のブルーワーカー層では、ノーツの機能は必要ない。しかし、情報共有のニーズはある。それに応える新しいメールソフトがこのソフトだ」(神戸利文・ロータス事業部長)と説明する。 これまで戦略的に中小企業マーケットを開拓する必要性を示してきたIBMのソフトウェア事業にとって、製品面でも新マーケット開拓の意志があることを示した新たなプロダクトというわけだ。 大企業マーケットでは、「都市銀行はすべてノーツ/ドミノユーザーに、日本の官公庁は71・4%がノーツ/ドミノユーザーとなった」(神戸事業部長)と好調のようだが、問題は中小企業マーケットである。戦略の変更がどれだけ功を奏すのか。競合の動向とともに大きな注目点といえるだろう。
昨年7月、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)のソフトウェア事業部は、従来からIBMブランドだった「DB2」、「WebSphere」に加え、「チボリ」、「ロータス」を統合。4つの有力ミドルウェアをもつ事業部となった。(三浦優子●取材/文)
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