F5ネットワークスジャパン(長崎忠雄社長)がストレージ仮想化製品「ARX」を本格的に拡販することに乗り出す。同製品に特化した販社向けパートナープログラムを策定、「ARX Select」と称して4月1日から提供開始する。新規開拓を中心に提供開始後1年間で販社10社の獲得を目指す。また、競合となりうるストレージメーカーとの協調関係を維持することで、製品の販売を増やしていく方針も示している。
「ARX Select」は、すでに米国本社で立ち上げ、北米市場で提供。成果をあげていることから、日本市場でもプログラムの提供開始を踏み切った。伊藤利昭・マーケティングディレクターは、「ストレージ関連機器の国内需要は、NAS(ネットワーク・アタッチド・ストレージ)を中心として増大傾向にある。ファイルが増えていることと、仮想化ニーズが高まっているためだ。『ARX』の発売から約2年が経過した今、本格的に売れる環境になった」と、プログラム立ち上げの理由を語る。
プログラムメニューは、ARXの販社に対して営業や技術、マーケティングなどの面でF5が支援することを基本としており、販社によって分類している。具体的には、販売網の構築で間接販売を中心に行なっているディストリビュータ向けの「Value Added Distributor」、ユーザー企業に直接提供しているリセラー向け「Value Added Reseller」、ディストリビュータ経由でF5製品を調達するインテグレータ向け「Advantage Partner」の3種類を揃えている。
プログラムを立ち上げた最大の狙いは、「BIG-IP」「FirePass」などといった同社の主力となるネットワーク関連機器の販売が目的の販社支援策とは別に、ARXの販売に特化したプログラムとして位置づけ、既存の販社に加えてストレージ関連ビジネスに強みをもつベンダーをパートナーとして確保すること。これまでネットワーク機器の販売に強いインテグレータとのパートナーシップを深めてきた同社にとっては、新しいチャレンジといえる。伊藤ディレクターは、「新規の販売パートナーを開拓していく」としている。さらに、既存販社のなかでも「ネットワーク関連機器でアライアンスを組んでおり、なおかつNASを提供するメーカーとのパートナーシップを深めることで、ストレージ仮想化をベースとしたソリューションを提供していきたい」との考えを示している。例えば、NASと「ARX」を組み合わせた販売が考えられる。
コンセプトに据える「ADN(アプリケーション・ネットワーク・ネットワーキング)」をストレージ管理分野にまで広げ、さまざまなベンダーとの協業強化でL4-7スイッチとストレージの分野で主導権を握る。これが同社の戦略である。(佐相彰彦)