急速に普及するWebアプリケーション。最近ではミッションクリティカルな基幹系システムでも、「Java」や「.NET」を活用したWebシステムを構築するケースが多い。ただ、C/S(クライアント/サーバー)型システムに比べて、安定稼働させるのが難しく、稼働状況を常時監視することが必要になる。そこで、注目を集めているのがAPM(アプリケーション・パフォーマンス・マネジメント)ソフトだ。Webアプリの安定稼働を支えるツールとして、注目を集め始めている。
サービス事業を手がけるツールにも
Webアプリの運用を支援 企業・団体のIT投資額のうち、約70%が情報システムを維持するための運用・保守コストで占められる。改修・継ぎ足しを繰り返して肥大化・複雑化した情報システムをメンテナンスするために、企業は運用担当者を揃えているのが現実だ。安定的に、そして効率的にシステムをお守りすることは、企業にとって長年の課題になっている。IT調査会社であるIDC Japanの入谷光浩・ソフトウェア&セキュリティマーケットアナリストは、「景気後退により、運用管理コストの削減は、ユーザー企業の重要な課題の一つになっている」と指摘する。
ユーザー企業が抱えるこの課題に着目したツールベンダーは多い。情報システムやネットワークを効率管理するためのさまざまツールがすでに市場に揃っている。IDC Japanが2009年8月に発表した資料によれば、08~13年までの年平均成長率(CAGR)は4.7%、2013年の市場規模は3486億円に達すると予測している。IT産業全体の08~13年のCAGRは、マイナス1.1%だけに、成長分野といえる。
システムやネットワークを管理・監視するためのツールは多岐にわたる。市場をけん引しているのは、変更・管理ソフトや問題管理ソフトだが、今後注目を集めるのがAPM(アプリケーション・パフォーマンス・マネジメント)ソフトだ。
APMとは、Webアプリケーションの稼働状況を24時間365日監視し、パフォーマンスのチェックと、万一障害が発生した場合に迅速に対応するために用いるツール。簡単にいえば、運用管理ソフトのWebアプリ版だ。
ネットワーク回線の安定とUI(ユーザー・インタフェース)の進化で、ユーザー企業の情報システムはC/S(クライアント/サーバー)型システムからWebシステムへの移行が進んでいる。基幹系システムでもWebシステムは一般的になりつつある。ただ、C/S型よりもパフォーマンスを維持するのが難しく、Webシステムの安定稼働は、情報システム管理者にとっては頭痛の種になっている。そこで、注目を集めたのがAPMなのだ。
問題解決や投資計画立案にも活用 APMでは、まずアクセス数や負荷状態、コンピュータのリソース使用量などの統計データを収集する。このデータをもとに、万一障害が発生した場合の問題解決策を迅速に導き出すことが可能になり、ダウンタイムを最小化させることができる。また、どのWebアプリでどの程度のリソースを利用しているかも把握でき、将来のシステム拡張・増設計画を立てることも可能になる。
システムインテグレータ(SIer)とITサービス会社にとっての利用価値は高い。まず、ユーザー企業の情報システム管理者が自身で利用するために、APMツールの販売が可能になる。大企業では、自社のスタッフでアプリを常時監視したいというニーズが強いためだ。
その一方で、ITベンダー自身が利用するケースもある。情報システム管理者が不足しているユーザー企業が、Webアプリケーションのパフォーマンス監視をITベンダーに代行を要請するというニーズはある。とくに中堅・中小企業(SMB)では、このニーズが強い。ITベンダーがAPMをサービスを提供するためのツールとして導入し、遠隔地からユーザーのWebアプリケーションを監視する体制を構築すれば、そうした需要に応えられるわけだ。
安定的に、そして効率的に管理するためのソリューションとして、APMがIT運用管理ツール市場で伸びる可能性は、Webアプリケーションが急速に普及しているだけに高い。それだけに、ITベンダーはAPMをソリューションの一つとして検討する価値が十分にあるだろう。(木村剛士)