三菱電機（山西健一郎社長）は、これまでグループ会社が個別に提供していたクラウド型サービスをオンデマンドITサービス「DIAXaaS（ダイヤエクサース）」という統合ブランドで提供していくと発表した。従来から提供しているSaaS型アプリケーションに加え、顧客のSaaS型業務システム構築やITリソースプール構築とシステム間連携によるオンデマンド基盤構築・支援を新たにメニュー化。クラウドにかかるワンストップでのソリューション提供を実現する。

黒田健兒常務執行役

　三菱電機の黒田健兒常務執行役 インフォメーションシステム事業推進本部長は、「顧客からクラウドに関する要望が多くなっていたことから昨年10月からコンセプトやサービスを検討した。その結果、高いセキュリティレベルをコンセプトとしたクラウド型サービスを提供しようと考えた」と経緯を話す。

　昨今、クラウドが盛り上がりを見せているものの、実際にはいわれるほど急速に導入が進んでいるわけではないようだ。その要因として挙げられるのが、セキュリティや信頼性の問題だ。

　「DIAXaaS」は、グループ会社の三菱電機情報ネットワークのデータセンター（DC）から提供する高度なセキュリティが強みのクラウドサービスである。HISPRO（保健医療福祉情報安全管理適合性評価協会）認定のネットワークなどによってセキュリティを高めるとともにシステム冗長化などで信頼性を高めた。統合運用管制センターで24時間365日監視を行う。

　このセキュリティと信頼性を確保したDCから、SaaS型アプリケーション、IaaS型プラットフォームサービスの提供、顧客のクラウド構築の要望までをワンストップで提供できる体制を整備した。すでに各社が提供しているSaaS型アプリケーションを、「DIAXaaS」のサービスメニューとして組み入れる。

　また、新しく四つのサービスをリリースする。SaaS型業務システムの構築・運用を提供する「ITサービスインテグレーション BizFLEX」と、IT全般統制を統合したオンデマンド基盤構築サービスである「Fine Platform Solutions」のほか、IaaS型プラットフォーム提供サービスである「Value Platform on Demand」、医療向けセキュリティレベルを満たすSaaS型電子署名サービス「@Sign on Demand」である。これらを順次提供していく。

　三菱電機は、今後とくに厳重なセキュリティが求められる医療向け、金融向けなど業種別サービスの提供などを進める。

　「DIAXaaS」はグループ各社がそれぞれ自社サービスを販売する。例えば、三菱電機インフォメーションシステムズでは、グループ会社のサービスとも組み合わせてソリューションとして提案も行っていく計画を示している。（鍋島蓉子）