日立製作所(日立、中西宏明社長)の情報・通信システム社ITプラットフォーム事業本部が入居する横浜事業所(横浜市戸塚区)の新オフィスビルが完成し、マスコミ関係者に公開された。メインの事務所棟は地上6階建てで延床面積は4万7706m2、最新のIT・環境技術を取り入れ、約150億円の建設費用を投じたオフィスビルだ。このビルでIT関連のハードとソフト、サービスを担当する約3500人のスタッフが勤務している。日立のITプラットフォーム事業の中核基地を紹介する。(取材・文/木村剛士)
およそ150億円を投じた横浜事業所の新オフィスビル
ITプラットフォーム
事業本部
阿部淳
開発統括本部長 新建屋の建設プロジェクトは、2年ほど前にスタートした。2011年3月に着工して、竣工は12年6月。建屋は、「事務所棟」「共用棟」「防災棟」の三つに分かれ、全棟の合計延床面積は5万9341m2。事務所棟だけでも、東京ドーム1個分に相当する広さだ。ここに、日立の情報・通信システム社のITプラットフォーム事業本部に所属する約3500人が、7月下旬に1週間ほどをかけて引っ越した。ミドルウェアを中心とするITプラットフォーム製品・サービス事業のスタッフが集結したわけだ。
新オフィスビルの総建築費用はおよそ150億円。ITプラットフォーム事業本部の阿部淳・開発統括本部長兼事業統括本部事業主管は、「全体の85%を日立グループの製品・サービスを使って建設した」という。日立グループの総合力は、この新オフィスビルにも生かされている。
最新のIT・環境技術をさまざまな部分で採り入れている。例えば、コンピュータルームには、約2000台のサーバーとストレージ機器を設置。日立製品だけでなく、パートナー企業の製品も設置しており、複数のメーカー製品を組み合わせてシステムの動作を検証することができる。ソフト開発環境はクラウド化し、国内外を問わず、複数拠点のスタッフが同じ開発基盤を利用できる環境を整えた。阿部本部長いうところの「世界で戦うための製品開発拠点」を意識している。
環境技術では、ビルの屋上に「オフィスビルとしては国内最多枚数」(日立の広報担当者)の2130枚の太陽光パネルを設置して自家発電している。太陽の軌道に合わせてパネルの向きを自動調整する「太陽追尾装置」という特殊機器を12個設置。太陽光を効率よく取り入れている。
新オフィスビルで、最新技術の導入と同じく重要視したのが、社員の働きやすい環境づくりだ。阿部本部長は「エンジニアが新しい技術・製品を生み出しやすい環境づくり、活発に議論して楽しく仕事することができる職場づくりを目指した」という。その言葉通り、いくつかの工夫を凝らしている。例えば、オフィス内に多くのフリースペースを設け、持ち運び可能なホワイトボードを用意して、どこでもディスカッションすることができるようにしている。また、オフィス内には、セキュリティカードがなくても自由に行き来することができる内階段を中央に設け、フロアの違うスタッフと気軽に連携できるようにしている。広い食堂・カフェと、歯科と内科医が常駐している「健康管理センタ」を設置しているのも、スタッフに働きやすい環境を提供するための配慮だ。
阿部本部長は、「今年度期首にITプラットフォーム事業本部が誕生し、ハードやソフトを問わず、プラットフォーム関連の製品事業部隊は一つになって、風通しがよくなった。この新オフィスビルが完成したことで、ますます各製品部門の連携を促進していきたい」と意気込みを語った。
屋上には2130枚の太陽光パネルを設置し、自家発電している
地震対策も万全で、揺れを吸収する特殊ゴムを使った柱90本で建物を支えている
オフィスはフリースペースを複数つくって、気軽に議論することができるようにした
コンピュータルームには、サーバーやストレージなど約2000台のハードウェアが設置してある
内階段を中央に設置し、フロアが違うスタッフが自由に行き来することができる。1階には、ソフトウェア事業部がソフトボール部を支援していることにちなんで、ミニチュアサイズのグランドも
食堂は広く、「LAVAZZA」という人気カフェ店も入っている。「LAVAZZA」は、原宿店に続き、新オフィスビルの店舗が国内2店目とか