シマンテックは2月21日、東京・大手町でグローバル戦略説明会を開催した。同社は昨年8月に、ウェブセキュリティベンダーのブルーコートシステムズ(ブルーコート)を買収し、エンタープライズ向け製品のポートフォリオを拡大させている。就任後、初来日となった米本社のグレッグ・クラークCEOは、両社製品の強みを統合し、「サイバーディフェンスのプラットフォームとしては、他に類をみないものをつくることができた」と強調した。(前田幸慧)

シマンテック
グレッグ・クラーク
CEO

 シマンテックは近年、セキュリティ事業強化のため、変革を推し進めてきた。2014年10月、情報管理ベンダーのベリタス・テクノロジーズを分社化し、会社としてセキュリティ事業に特化する方向にシフト。16年8月には、46億ドル超を投じて、ウェブセキュリティベンダーのブルーコートシステムズを買収。コンシューマ領域においては今年2月、ID保護サービスを提供する米LifeLockを買収して、製品ポートフォリオを強化してきた。

 とくにブルーコートの買収を通じては、シマンテックのエンドポイントセキュリティにブルーコートのもつネットワークセキュリティの技術を統合することで、より包括的なセキュリティソリューションの提供が可能になる。昨年8月付で、ブルーコートのCEOからシマンテックのCEOに就いたグレッグ・クラーク氏は今回の会見で、両社の統合によって、「サイバーディフェンスのプラットフォームとしては、他に類をみないものをつくることができた」と強調し、両社の統合によって生まれた価値の提供に意欲を示している。

 例えば、シマンテックのエンドポイントセキュリティ製品「Symantec Endpoint Protection(SEP)」やコンシューマ向け製品の「Norton」と、ブルーコートのゲートウェイセキュリティ製品「ProxySG」がそれぞれでブロックしたファイルやURLの情報を、クラウド上で脅威インテリジェンスとして共有している。これにより、エンドポイント/ゲートウェイの両方向でブロックの精度を上げている。両社の統合によって、セキュリティ情報を収集する「グローバルインテリジェンスネットワーク」も強化され、昨年一年間においては、約4億3000万の新たなマルウェアを検知し、約10億の悪質なメールをブロックしたという。「グローバル全地域での問題を可視化し、新たな脅威をすべて把握している」とクラークCEOは説明する。

 また、直近では、ブルーコートの買収によって実現したソリューションとして、DLP(情報漏えい対策)製品とウェブセキュリティサービスの統合や、メールセキュリティサービスと、従業員のクラウドサービスの利用にセキュリティ対策を施すCASB(Cloud Access Security Broker)製品を組み合わせることによって、ウェブ、メール、クラウド向けのDLPを可能にするなど、顧客のクラウド環境への移行を支援するクラウドセキュリティプラットフォームの提供を発表している。

 これまで、ブルーコートの顧客層は中規模以上の企業が中心であったが、幅広い企業規模の顧客をもつシマンテックとの統合によって、今後は、ブルーコート製品の中小企業へ向けた展開も視野に入れていく。一方、エンドポイントセキュリティ製品の提供がメインであったシマンテックにおいても、ブルーコートの買収によって「非常に強固なアプローチができるようになった」とメリットを強調するクラークCEO。競争の激しいセキュリティ市場において、シマンテックの存在感はどこまで高まるのか。ブルーコート出身のクラークCEOの手腕にも要注目である。