SBIホールディングス(北尾吉孝社長)とその子会社であるSBI Ripple Asia(沖田貴史代表取締役)が事務局を務め、邦銀61行が参加する「内外為替一元化コンソーシアム」が、ついに分散台帳技術(Distributed Ledger Technology、DLT)をクラウド上に実装した決済基盤の商用化にこぎつけた。次世代の送金システムの姿を市場に示し、デファクトスタンダードの地位を獲得することができるか。(本多和幸)

 内外為替一元化コンソーシアムは2017年12月、DLT技術を使った米リップルの最新決済ソリューション「xCurrent」をクラウド上に実装した次世代決済基盤として、商用版「RCクラウド2.0」を完成させた。そして今年3月7日には、このRCクラウドに接続するスマートフォン向けの送金アプリ「Money Tap」を発表するとともに、コンソーシアム参加行の住信SBIネット銀行、スルガ銀行、りそな銀行の3行が先行して商用化し、今夏をめどに一般ユーザーへの提供を目指す計画であることを明らかにした。これにより、3行に口座をもつ個人同士であれば、24時間365日、DLTを活用した基盤上でのリアルタイム送金が可能になる。

 ちなみに、ブロックチェーンもDLTの一種だが、米リップルが独自開発したDLTの「インターレッジャー・プロトコル(ILP)」は、ブロックチェーンではない。

 現在、国内送金は、各行の勘定系システムと全銀システム、日銀ネットを連携させて決済しているが、RCクラウドによる決済はより低コストでのシステム運用が可能で、送金手数料も従来より下げられるという。ただし、実際の手数料は参加各行が個別に設定するため、エンドユーザーが最終的にどの程度コスト面でのメリットを享受できるかは不明だ。

 同コンソーシアムは、もともと国内送金だけでなく、国外送金も含めて一元的な決済プラットフォームの構築を目指して設立された。国外送金は、複数の中継銀行を経由するため、時間やコストの不確実性などが大きな課題となっている。国内送金にしても、利用時間の制限などがあり、スマートフォンなどが普及した現在のエンドユーザーのニーズに適っているとはいいがたい。これらの課題を踏まえ、コンソーシアムは、国内外の送金をいつでもどこでも低コストで可能にするシステムを実現すべく、米リップルのDLT技術を使ったソリューション開発に着手。xCurrentを、コンソーシアム会員がプライベートクラウド環境で共同利用する「世界初・日本発の仕組み」(Ripple Asiaの沖田代表取締役)をRCクラウドと名付け、商用化に向けた実証実験や周辺機能の開発に取り組んできた。Money Tapはもちろんのこと、Money TapとRCクラウドをオープンAPIを活用して接続できるようにし、参加行ごとのシステム開発負荷を低減する「共通ゲートウェイ」などもその成果だ。

 今後コンソーシアムとしては、RCクラウドの利用行、つまりはMoney Tapに対応する銀行を増やすとともに、個人間送金に限らない総合的な送金プラットフォームとしてのRCクラウドの成長を目指すことになる。そのためには、“規模の拡大”が不可欠であり、コンソーシアム参加行、とくにメガバンクが実際にこのスキームに乗ってくるかがカギになりそうだ。三大メガバンクもコンソーシアムには参加しているが、独自にブロックチェーンを活用した新たな内国為替の仕組みの実証実験を行った経緯もある。今秋には全銀システムの24時間化も予定されており、新たな決済プラットフォームの勢力図はまだまだみえてこない。