仮想化環境向けストレージベンダーである米ティントリが破産申請を行ってから1か月が経とうとしている。ビッグデータ活用のための高速・大容量ストレージを提供する米データ・ダイレクト・ネットワークス(DDN)がティントリ買収の意向を示しているが、先行き不透明な状況が続いている。新興ストレージベンダーの雄として日本市場でも有力パートナーを抱え、顧客基盤も着実に拡大してきたティントリだが、既存ユーザーのサポートはどうなるのか。(日高彰、本多和幸)

 ティントリは2017年6月にNASDAQに上場した後、四半期決算ごとに営業損失が拡大し続けるという苦しい状況が続いていた。上場後初の決算発表となった18年度(17年2月~18年1月)第2四半期決算では、過去最大規模の受注があり売上高は前年比27%増となったものの、営業損失幅は拡大。第3四半期でも同様の傾向となり、当時のケン・クラインCEO自らが業績への失望感を表明するという事態になった。

 そして今年3月に発表した18年度通期決算では、売上高が前年比1%増にとどまり、営業損失は1億4950万ドルに達していることが明らかになった。このタイミングで、7000万ドル規模の事業再建案と、クラインCEOは後継者を決定した後に退任することも同時に発表している。

 直後にトーマス・バートンCEOが就任したが、同社の株価は大幅に下落し、6月に発表した“暫定”の業績発表では、「月末を越えて事業を継続できるだけの運転資金がない」ことを明らかにし、もはや同社の経営は末期的状態であることが公になった。7月9日にはNASDAQより上場廃止通知を受け、翌10日に破産申請。同日、DDNがティントリについて「拘束力がなく、取引完了の保証がない」買収意向を表明したというのが現在までの流れだ。

 国内ではつい最近まで順調に成長していたようにみえたティントリだが、ティントリジャパンの社長を6年間務めていた河野通明氏は今年2月に新世代コンバージドインフラと銘打った製品を提供する米デイトリウムの日本法人社長に就任し、ティントリジャパンからも複数の人材が同社に移籍している。グローバルの業績悪化との関係は不明だが、人材の流出が続いていたのは確かだ。なお7月24日現在、ティントリジャパンのウェブサイトは継続して公開中だが、電話はつながらない状況になっている。

 問題は、同社がすでに国内でも多くのユーザーを獲得していることだ。最も影響が大きいのは富士通だろう。同社はティントリ製品を「ETERNUS TR」シリーズとしてOEM販売してきたが、7月11日をもってETERNUS TRは販売を終了したという。ただし、保守サービスはこれまでどおりの内容で継続して提供する。「破産申請下であっても米国本社は存続していると認識しており、引き続き動向を注視していく」(同社)意向だ。また、ETERNUS TRの代替商材をどうするのかについては、「ストレージはこれまでも顧客ごとに個別提案を行ってきた。ETERNUS TRシリーズは終了となるが、仮想化環境向けには案件ごとに最適な構成のストレージを提案していく」とコメントしている。

 ティントリの国内販売代理店を務めてきた他のパートナーも、保守サービスは当面これまでどおりのかたちで行い、その後の対応はティントリそのものがどうなるかを注視したうえで決めることになりそうだ。

※8月10日追記
 データダイレクト・ネットワークス・ジャパンは7月31日、DDNがティントリとグローバルリセラー契約を結び、販売やサポートなどティントリ製品のビジネスを網羅的に手がけるための体制を「世界中で急ピッチで構築している」と発表した。