技術ベンチャーのトラックス(ジョエル・バーエルCEO)は7月11日、同社が開発する画像分析ソリューションを日本国内向けに提供すると発表した。小売店の商品棚を撮影するだけで、陳列状況や欠品、商品ごとの棚占有率などを可視化できる。国内の大手消費財メーカーに向けて提供する。

 同社は本社をシンガポール、開発拠点をイスラエルに置くソフトウェア企業で、小売店の商品棚を撮影した画像を分析できるBIツールを提供している。市場戦略を統括するシャビト・クライン氏は、「Eコマースがこれだけ普及した現在も、消費財業界の全売上高の90%は実店舗から生み出されている。しかし、実店舗の売り場からはデジタルデータがほとんど得られておらず、可視化されていない」と話す。現在は多くの消費財メーカーが、営業担当者やラウンダーと呼ばれる店舗巡回員の目視によって、自社商品の品揃えやレイアウト、キャンペーンの実施状況などを確認するとともに、外部業者による棚卸し、調査会社のデータなどで店頭の動向を把握しているが、いずれもデータ取得の頻度が低いばかりか、人の手によるため不正確で高コストだと指摘する。
 
シャビト・クライン
市場戦略責任者

 トラックスはこれらの作業を画像認識技術でデジタル化する。店舗を訪問した担当者がスマートフォンのカメラで商品棚を撮影すると、トラックスのクラウドで画像が分析され、しかるべき場所に商品が陳列されているか、どの商品が欠品しているか、商品棚の中で自社製品がどれだけの割合を占めているかといった指標を数値とグラフで可視化する。
 
スマートフォンで撮影した画像で棚の状況を可視化する

 また、応用製品として小売店向けの店舗管理システムも提供しており、店内に設置したカメラの画像をリアルタイムで分析することで、欠品や陳列の誤りを通知し、品出し業務を最適化することができる。

 大手メーカーではコカ・コーラへの納入実績があり、昨年、FIFAワールドカップが開催されたロシアでは、在庫切れ率の低下や注力商品の販売増といった効果があった。コカ・コーラのロシア現地ボトラーは従来、主要都市の小売店でしか店頭の巡回監査を行えていなかったが、トラックスの導入で監査対象をロシア全土に拡大。現在は毎日8万枚の画像が収集され、本部の事業開発部門は店舗向けの施策を日次で検証できるようになったという。東京オリンピック・パラリンピックでのマーケティング施策の実施のため、日本コカ・コーラもトラックスのソリューションを活用する予定。

 国内事業責任者の上野貴広リージョナルディレクターは「店舗巡回時に売り場の撮影を行っているメーカーはすでにあるが、多くの場合は報告目的にとどまっており、データとしての活用は進んでいない」と説明。まずはこのような消費財メーカーに提案し、将来的には小売業者も視野に入れる。既存の販売管理システムや受発注システムとの連携については個別に対応を行う。(日高 彰)