2018年10月にシャープ傘下に入り、19年1月から新社名で事業をスタートさせたDynabook。Dynabookとして1周年を迎えた今、覚道清文社長は19年をどう捉え次の1年をいかに舵取りしていくのか。その戦略を聞いた。(銭 君毅)

――今年1年を振り返っていかがですか。

覚道社長(以下敬称略) 社名を変えてからの1年間、「コンピューティングとサービスで世界を変える」というビジョンのもとで事業に臨んできました。

 特に注力してきたのは、ソリューションやサービスといったハードウェアに限らない新たな商材の立ち上げです。製造業向けエッジコンピューティングデバイス「dynaEdge」と作業支援サービスを組み合わせた提案を始めましたし、デバイスやユーザー認証、アプリケーションなどを包括して管理できる「Enterprise Mobility + Security」の導入支援・サポート・運用代行サービスを展開しています。ここについてはストックビジネスとしてある程度形になったのではないでしょうか。

 直近ではWindows 7やWindows Server 2008/2008 R2のサポート終了で大きな反動減が予想されていますが、これらのサービスによって国内のハード売り上げが伸び悩む部分をカバーできると考えています。売り上げについては厳しいところもあるでしょうが、収益面で維持・向上できる体制がすでに構築できています。
 
覚道清文 社長

――海外での方針はいかがですか。

覚道 海外市場については一連の構造改革でダウンサイジングしていました。とはいえ、国内の落ち込みをカバーする意味でもしっかりと投資していく必要があると考えています。海外はコストセンシティブな市場が多いので、新たなエントリーモデルを用意しましたが、目下の課題はブランドの認知度でしょう。既存のお客様にはこれまで通りのサービスを提供できますが、新たな顧客を作っていくためにはdynabookブランドの認知を広めていく必要があると思います。19年の間でテコ入れを進めてきましたが、まだまだ現状に満足はしていません。20年も積極的に展開していく方針です。

――シャープ傘下に加わったシナジーもあるのでしょうか。

覚道 確かにメリットは大きいですが、これは海外ビジネスに限ったことではありません。販売では、国内と国外、C向けB向けに限らず互いのお客様に向けてクロスセルを展開していますし、実際にここの数値はこの1年で伸びています。開発面ではシャープの持つ高精細な液晶パネル技術などで高いシナジーを期待しています。

――20年の注力領域については?

覚道 いくつかありますが、大きなところでは文教市場です。政府が25年には公立小中学校と高校に1人1台のPCを配備する方針を打ち出し、予算も付けていますが、当社では教員や生徒のニーズをしっかりと取り入れ、ここで生まれる新たな需要を拾っていきたいと考えています。具体的には新たに4~5万円台の2 in 1モデルをラインアップしました。10.1型のコンパクトモデルでモニタースタンドが必要ない自立型なんですが、小さな机が多い教育現場にフィットするのではないでしょうか。

 もちろん同時にソリューションの提案も進めます。教育構造改革に向けた新たな指導要領に沿った学習アプリケーションやネットワーク、セキュリティを提供し、学校のICT化をワンストップで支援していきます。

――ソリューション重視なのは変わらないと。

覚道 近年の法人向け市場ではお客様の改革の転機になるような商売をしていかなくてはいけません。ユーザー企業に勤める方の暮らし向きがよくなるような変化をご支援していきたい。そのためにはお客様のビジネス環境を熟知した提案やソリューションが必要になります。「dynabook as a Service」というコンセプトを広げ、お客様の価値向上に寄与できる取り組みを本格化させていきます。