レノボ・ジャパンとレノボ・エンタープライズ・ソリューションズは、2021年の重点施策としてPCやサーバーなどの導入や運用を支援する“サービス”の拡充と拡販に取り組む。4月には専門組織もグローバルで立ち上がるという。PCなどのデバイス、サーバーをはじめとするITインフラ製品と並ぶ三本目の柱として、ビジネス規模を急ピッチで成長させたい意向だ。(本多和幸)
レノボ・ジャパン デビット・ベネット 社長
3月10日に記者会見を開き、21年の事業戦略を説明したレノボ・ジャパンのデビット・ベネット社長は、「フォーカスするのはズバリ、サービスの強化だ」と強調した。
新型コロナ禍を大きな契機としてリモートワークが加速度的に進んだことにより、デバイスやITインフラの整備においてもセキュリティやガバナンスの前提が変化している。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の要請も高まっている。同社がサービスビジネスに本腰を入れる背景として、そうした変化に対応しなければならない顧客のニーズに応えるためには最新のハードウェアを提供するだけでは不十分であり、導入や運用を支援するサービスを手厚くしていく必要があるという課題意識があった。
これまでもキッティングやサポートなどサービスのメニューはあったが、同社は「新しいニーズに対応すべくその内容を大幅に強化・拡充している」(ベネット社長)としている。例えば「計画サービス」を開始しているのが大きなトピックだという。レノボ・ジャパンの上村省吾・執行役員サービス事業部サービスセールス&マーケティング本部統括本部長は「レノボは日本に開発センターがあり、生産工場もあって、国内にたくさんのエキスパートがいる。そういったエキスパートの知見を取り入れた上で、お客様相談に乗る、または質問に答えるという形での計画サービスを始めている」と説明する。また、顧客が同社製品を導入した後のアセット管理や代替機の手配、新製品へのマイグレーションなど、ライフサイクル全般をバックアップするサービスにも注力する方針だ。
より具体的なサービスメニューとしては、「Microsoft 365」や「Teams」など、マイクロソフトが“モダンワークプレイス”の構成要素として提供している製品群をスムーズに導入するサービスを用意。特に、導入の「コンサルティング」、エンドポイントデバイスのセキュリティ対策とソフトウェアスタックの管理を含めた「マネージドサービス」、PCの初期設定・社内展開を容易にするクラウドベースの機能「Windows Autopilot」を使ってスムーズな導入を支援する「Zero Touch Deployment」サービスの三つは、需要が急増している。さらに、マイクロソフト製品やレノボ製のハードウェア以外も対象に、MDMを活用したアセット管理、ソフトウェアライセンスの利用状況やコンプライアンスの管理といった独自サービスを提供しており、「一部で他社PCを使っているお客様でも、レノボのサービスがまとめて面倒を見るという提案や事例も徐々に出てきている」(上村執行役員)。今年2月には、レノボグループの一翼を担うNECパーソナルコンピュータの群馬事業場内に「レノボジャパンCFS(カスタマー・フルフィルメント・サービス)」を開設するなど、サービス事業の拠点整備も進んでいる。
サービスへの注力方針は、ITインフラを手掛けるレノボ・エンタープライズ・ソリューションズも共通だ。ジョン・ロボトム社長は「ハイブリッドクラウドも視野に、情報システムをモダナイズするという前提でアセスメントをして、ITソリューションを設計していくいう視点が重要。お客様のインテリジェントなトランスフォーメーションに大いに貢献したい」と話し、プロフェッショナルサービスの充実と成長を重視する方針を示した。
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ ジョン・ロボトム 社長
レノボは今年2月、グローバルの施策として、従来のサービスビジネスとソリューションビジネスを集約した新たな事業グループ「Solutions&Services Group(SSG)」を今年4月に立ち上げると発表した。サービスへの注力は「ワールドワイドの方針としてグループを挙げて本気で取り組む」(ベネット社長)意向。現在、グローバルでは売り上げ全体に占めるサービス事業の割合は8%だが、日本市場では1年以内にサービス事業の比率を15%程度にするという目標を掲げている。