両備システムズは3月17日、同社が提供する自治体向け子育て支援システム「ネウボラかるて」が広島県府中町に採用され、稼働を開始したと発表した。母子保健業務をデジタル化し、タブレット端末を利用して場所を選ばずに住民サービスを提供できるようにする。
「ネウボラ」とは、フィンランドで自治体が運営している出産・子育て施設とその制度のことを指す。日本においても、妊娠期から出産、子育て期に至るまで切れ目のない支援を提供するため、市区町村における「子育て世代包括支援センター」が法定化されるなど、子育て支援の強化が進められておりネウボラかるてはそれに関する自治体業務の効率化を目的としている。
自治体が提供する子育て支援サービスは、母子手帳の交付、妊婦の健康検査、乳幼児検診など多岐にわたるが、現状では紙のカルテで情報を管理しているため、市役所、保健所など、住民サービスを提供する場所にその都度カルテを持ち出す必要があった。このため作業負荷や、紛失や破損のリスクが高かったほか、異なる担当者間での情報共有が難しかった。
また、訪問日時の予約、問診票への記入など、住民側にも作業が発生する。これらも電話や紙で行われていることが多く、日中の電話が必要、事前の記入ができない、といった問題があった。
ネウボラかるてでは、タブレット端末と閉域のモバイル回線を使うことでこれらの業務をデジタル化し、自治体向けには業務効率化やセキュリティ向上を、住民向けにはサービス向上を実現する。
浅尾 誠 取締役
システムの開発にあたっては、「全国700弱の市区町村に利用されている」(浅尾誠取締役)同社製の健康管理システム「健康かるて」をベースとした。また、同社内のデータセンター、タブレット端末、住民向けWebサイトをセキュアに連携させる仕組みを構築した。販売目標は2023年度までに1億円。
(日高 彰)