CRM(顧客管理)開発の米HubSpot(ハブスポット)は、国内での売り上げの伸び率が世界で上位5位以内に入ることを明らかにした。米国以外の市場開拓に力を入れており、本年度(2022年12月期)は「米以外の売上高が過半数を超える勢い」(HubSpot日本法人の廣田達樹カントリーマネージャー)で推移。日本法人の売り上げの伸びもグローバル戦略の一翼を担っている。
廣田達樹 カントリーマネージャー
HubSpotは顧客を自社に呼び込む“インバウンド手法”を指向したSaaS型のCRM製品群を展開。マーケティングや営業、顧客サポートなど、顧客との接点を持つ部門を中心に情報共有ができる仕組みになっている。外部のSNSとも連携し、自社の製品やサービスを訴求するコンテンツを積極的に発信することで顧客を呼び込み、「呼び込んだ顧客と信頼関係を築き、購入してもらったあとの満足度を高めるプラットフォームとして活用してもらっている」(廣田氏)という。
企業向け、一般消費者向けのいずれの商品・サービスでも、顧客を呼び込むためのコンテンツをつくるという点で共通しており、HubSpotはコンテンツ制作のノウハウ提供や人材育成に力を入れる。英語圏では多種多様な講習コースやコンテンツのひな形が揃っていることから、「日本語に翻訳したり、国内独自の講習コースをこれまで以上に拡充させたりしていく」と廣田氏は話す。16年の日本法人設立以来、人員増にも力を入れており、25年には300人体制を視野に入れる。
国内販売パートナーは約160社。うち7割がデジタルマーケティングを強みとするパートナーで、3割がSIer系のパートナーが占める。
グローバルの上半期(22年1-6月期)の営業利益は、成長段階にあるSaaS企業であることから6300万ドル(約81億円)の赤字だったが、売上高は前年同期比38%増の8億1700万ドル(約1062億円)と大きく伸びている。
(安藤章司)