マニュアル共有SaaS「Teachme Biz(ティーチミービズ)」開発のスタディストは、ASEAN市場でユーザー社数を増やしている。タイを中心にユーザー数は累計100社を突破。本年度(2023年2月期)は60社の新規ユーザーを見込む。業種別で見ると製造業が全体の約4割でもっとも多く、次に飲食店や小売店のユーザーが続く。コロナ禍期間中に紙のマニュアルを取りやめ、従業員の手持ちのスマホやタブレットに直接マニュアルを配信するTeachme Bizへ切り替える動きが加速したことから、直近1年間でユーザー数が倍増した。
豆田裕亮 タイ法人社長
タイに進出したのは18年で、タイ語版の開発や販売パートナーの開拓に取り組んできた。当初は日系企業のユーザーが中心だったが、「便利なマニュアル共有の仕組みがあるとの口コミで広がった」(豆田裕亮・タイ法人社長)ことから、近年ではタイの地場企業での採用が拡大。今年6月にはベトナムの経営コンサルティング会社がTeachme Bizの販売を始めたことを受けてベトナム語版も開発している。
直近ではASEAN全体で30社ほどの販売パートナーがTeachme Bizの販売を手がけており、多言語への対応や販売パートナーの支援に力を入れる。
Teachme Bizは、ユーザーが知りたい情報に直間的に辿り着けるユーザーインターフェース(UI)が評価され、国内外で累計2000社で採用されているヒット商品。小売業であれば、レジ操作や閉店後の戸締まりの手順、売上金の収納方法など、店員が知りたい作業工程をピンポイントで参照できる。具体的な作業内容については動画や画像を交えて分かりやすくコンテンツを作成できるのが特徴だ。
製造業では製造装置の操作盤に二次元コードを表示し、スマートフォンで読み取るだけで操作マニュアルが得られる。飲食店では料理レシピを工程順に示すことで、新米の厨房スタッフの支援や新メニューの迅速な展開に活用している。長編の動画や文字ばかりのマニュアルに比べて、ユーザーの興味の対象へと即座に辿り着ける強みを生かして、「ASEAN市場で将来的に2000社のユーザー獲得を目指す」(豆田タイ法人社長)と意欲をみせている。
(安藤章司)