学生時代から毎日16時間ぶっ通しでプログラムに没頭してきた。1990年代初めにはパソコン通信用ソフト「エアークラフト」(MS-DOS版)のヒットに続き、エージェントソフト「エアーウェブ」を開発した。00年度、01年度と経済産業省「未踏ソフトウェア創造事業」に採択された。情報処理振興事業協会(IPA)や東京中小企業投資育成などから約1億円の資金を得て、01年に株式会社を設立――。まさに、天才スーパープログラマにふさわしい経歴だ。
しかしここ数年、状況が変わった。経営の忙しさの中で、ソフト開発にまで手が回らなくなった。「もう1度、ソフト開発の現場に戻りたい。次世代の新しいソフトを、この手でつくりたい」今、経営に関する主な仕事を同僚に任せ、ソフト開発に専念できるよう準備を進めている。会社の事業そのものは順調だ。中核事業であるエージェント技術に対する引き合いも多い。
「3年後、5年後と高度情報化が進むなかで、ユーザーが何を求めているのかをソフトウェアの面から洗い直す。ソフト開発は、基本的に細かい手作業の積み重ね。マイクロソフトでも自動化工場みたいな施設で量産しているわけでなく、プログラマー1人ひとりが作業に没頭して作っているに過ぎない」「今、プログラマーとしての原点に立ち返り、次世代のソフト開発の方向性を模索する時期に来ている」次の新しい波を起こしてほしい。
プロフィール
飯塚 豊
(いいづか ゆたか)1965年、神奈川県生まれ。92年、東京大学理学部物理学科卒業。在学中に当時のパソコン通信サービス、ニフティ向けの統合通信ソフト「エアークラフト」を開発。ユーザー数10万人を獲得する。99年、エージェントソフト「エアーウェブ」の開発に着手。00年、エージェント技術を使った検索ポータル「goo」向けのツールバー「gooスティック」を開発。01年、経済産業省「天才スーパークリエータ」に認定。02年、同省「天才スーパープログラマ」に認定。