ブロードバンドの普及で、急速に拡大しつつあるIP電話市場。キャリアやISPなど多くの事業者が参入し、加入者を獲得する競争が激化している。そんななか、「電話の基本料金を消費者や企業が納得して支払っているとは言い難い」とのコンセプトから、「エンドユーザーに無料で提供する」と、IP電話事業のビジネスモデルを根底から覆す人物がいる。フィールドオフィスの森一弘社長だ。
サーバーを介さず、クライアント情報端末間で直接通信が可能な技術を応用した次世代マルチコミュニケーションツール「フリーダム」を開発。04年春をめどに市場投入を計画する。現段階では、このツールに特化した情報端末を開発するメーカーと販売チャネルを開拓している。
動画像や音声、文字、ファイルなどをやりとりするマルチメディア環境で、多人数で同時にコミュニケーションを図れることが特徴だ。「5年以上の歳月をかけた」と、設立以前から製品化に取り組んでいた。収益は、会社の設立当時に提供していたオンラインゲームのノウハウを生かし、「ユーザーへのコンテンツ提供で収益を伸ばす」と言い切る。無料配布後は、まず国内で1000万ユーザーの獲得を目指すという。「3年以内に海外展開を図る」と、夢は壮大だ。
プロフィール
森 一弘
(もり かずひろ)1965年、福井県生まれ。関西大学経済学部卒業後、日本電信電話法人営業本部(現NTTコミュニケーションズ)入社。99年1月、NTTの社内ベンチャー制度に基づきユージーンを設立。社長に就任。00年6月、MBO(経営者による企業買収)方式により、NTTグループから独立。02年6月、フィールドオフィスに社名を変更。現在、ホームページを休止中。04年早々に立ち上げる予定。