「いま、大きくできる時」──。世界的に戦略的な企業買収を繰り返すITインフラ統合管理ソリューション最大手の米アボセント。その日本法人に転身、近く社長に就任する予定で、自社のポテンシャルをこう表現してみせた。前任では外資系ソフトウェア開発環境ツール会社の日本テレロジック社長として、日本市場開拓の道筋をつけた。
「得意なのは、会社のスタートアップ。もう一度、立ち上げをやりたい」。世界で米アボセントの売り上げに占める日本の比率は、現在2%程度。「まずは5%を目指す」と意気込む。昨年、運用管理ソフト大手の米ランデスクを買収したことなどで、「ソリューション案件を伸ばせる」と分析しているためだ。
17年以上勤めた光半導体素子などを開発する浜松ホトニクスでは、26歳の時からドイツに長く駐在した。外国営業・輸出国際業務の担当者として「駐在中に8か国以上の顧客と交渉した」というほど、国際経験が豊かである。
光半導体素子や光計測システムとソフトウェアの開発・販売会社を経て、今度はハードウェアが主力の会社へ移籍してきた。「この経験を生かして、日本のビジネス環境に応じ、しっかりとローカライズ(現地化)する」と、新しい会社に着任したばかりで早くも戦略を練っている。
自宅は、いまも出身地の浜松市に置いている。横浜本社には、間借りしているマンションから通う。週末の大半は地元に戻り、47歳のいまもサッカーに興じる。自身を「非常に明るい」と評する。しかも、「Respect each other(互いを尊重する)」ことを信念としている。 活躍を期待してよさそうだ。
プロフィール
粟倉 豊
(あわくら ゆたか)1960年、静岡県浜松市生まれ、47歳。82年、早稲田大学商学部卒業。同年、浜松ホトニクスに入社。87年、同社の欧州現地法人設立のため西ドイツ(現在のドイツ)に駐在。94年、帰国後にCIO(最高情報責任者)として同社のCRM(顧客情報管理)を導入に従事。00年、ソフトウェア開発支援ツール開発ベンダーで、スウェーデンに本社を置くテレロジックAB日本法人、日本テレロジック代表取締役。07年6月、代表としてアボセントジャパンに入社、近く代表取締役に就任予定。趣味はサッカー。