自治体向けシステム構築に強い1969年設立のジャパンシステム。自社開発の行政支援パッケージソフト「FAST」は、約220団体に納入した実績がある。阿部聡は、ジャパンシステムに新卒で入社してほぼ20年の間、自治体向けシステムの企画・開発に従事。07年からは自治体ビジネスを指揮するリーダーとして70人ほどの部下を統率。看板ビジネスを引っ張っている。
阿部の強みは、長年のキャリアで得た自治体の文化・習慣と業務知識の蓄積だ。民間企業とは異なる独特の専門用語や特殊な会計処理を知り尽くし、業務フローもわかっている。担当者と対等に“会話”できる力が武器だ。得意分野は開発だが、システムの企画・提案から開発、運用まで横断的に担当できるのも、発注側に認められる要因になっている。
典型的な例が、岩手県岩手郡滝沢村のシステム開発案件。滝沢村は、人口が日本一多い村として知られているが、積極的に行政改革を推進したことでも名高い。06年度には「日本経営品質賞」を地方自治体として初めて受賞した。ITに対しても緻密な企画案が要求されるなか、「FAST」を導入した立役者が阿部だった。
滝沢村は、予算や計画進捗の厳格な管理を情報システムに求めていた。マネジメントを重視する「FAST」のコンセプトと合致し、滝沢村の今と未来を分析したうえで丁寧に提案したことが勝因。自治体経営はかくあるべきとの持論を持ち、業務知識があったからこそ、大手や地元ITベンダーに負けなかった。
自治体向けビジネスは、市町村合併が落ち着いた今、停滞感が漂う。ただ、「『FAST』のビジネスチャンスはまだまだある」と、自信に満ちた表情で話す。(文中敬称略)
プロフィール
阿部 聡
(あべ さとし)■1968年5月30日、埼玉県川越市生まれ。■89年3月、大原簿記専門学校情報処理コース卒業後、同年4月にジャパンシステム入社。一貫して自治体向けシステム構築業務を担当。■01年7月、マネージャーに就任し、07年1月から現職。