アマゾン・ドットコムの企業理念「Work hard,Have fun,Make history!(一所懸命に働き、仕事を楽しみ、歴史を作ろう)」。SaaS関連サービスを提供するフィードパスCTOの後藤康成は、この言葉が書かれたシールをノートPCに貼って、折に触れて確認している。インキュベーション事業などを手掛け、国内のインターネットビジネスをけん引したネットエイジの西川潔社長が信条とする言葉でもある。
2000年にネットエイジに入社。インキュベーション事業を手がける同社で、技術部門のトップとして、今では誰もが知るベンチャー企業を成功に導いた立役者として活躍した。一方、自らも中心となってイントラブログ「blog engine」を開発。2005年にブログエンジン(現フィードパス)を起業した。当時はCOOとしてビジネス戦略の立案、経営に携わり、大手電機メーカーのコラボレーションウェアにblogengineの供給を開始した。OEMビジネスが中心だった同社の状況では、「先方は大手企業が中心だったが、安定して売れるわけではない。当社としては常に販売してもらえる体制がほしかった」。打診したのは、ウェブ販売モデルで成功した、現在の親会社サイボウズだった。サイボウズが「サイボウズブログ」として販売するとともに、サイボウズからRSSリーダーを中心とするウェブサービス「feedpath」の移管を受け、「フィードパス」に社名変更した。
イントラネット向け製品を中心に手がけるなかで、RSSリーダーのマネタイズも模索してきた。だが、どうにも難しい。そんなときに押し寄せたのがSaaSの波だった。「従来のようにパッケージに複数機能を同梱する時代から、単発機能をユーザーが選択するア・ラ・カルトがトレンドになる」。今はCTOとして「feedpath Calendar」、企業間コラボレーションサービス「feedpath Rooms」など、時代に合ったSaaSを次々に生み出している。
インターネットビジネスを技術面で支えてきた。後藤の夢は「5年後はIT業界を引退して大好きな画家ゴッホゆかりの地、フランスのアルルで暮らす」こと。その頃には新しい歴史がつくられていることだろうか。(文中敬称略)
プロフィール
後藤 康成
(ごとう やすなり)メーカー系エンジニアリング会社でソフトウェアエンジニアの職に就く。1997年、シリコンバレーのベンチャー企業で欧州担当システム開発マネージャーに就任。2000年、ネットエイジ入社。執行役員、取締役を歴任し、インキュベーション案件および投資案件のデューデリジェンスの職務に就き、グローバルで活躍。2005年、ネットエイジのインキュベーション事業としてブログエンジン(現フィードパス)を設立。