「製品の価値を明確にしてモノを売れば自社への貢献にもなるし、それによって課題が解決すれば相手の企業に貢献することになり、ひいては社会貢献にもつながる」ことを信条に、営業畑を歩き続けた茂木正之。
出身地の長野県に本拠を置くベアリング製造のミネベアを皮切りに、日本DECを経て、日本オラクルに入社。「営業に必須の要件は、相手と同じ土俵に立って、要望や悩みを聞くこと」。これまで、顧客の課題を解決するためのソリューション営業に取り組んできた。オラクルでもソリューション営業を希望したものの、はからずも最初はパートナー営業からのスタートだった。だが「パートナービジネスを極めれば、どんな外資系でもやっていける」という役員の言葉が突き動かした。
国内大手ハードウェアベンダーすべてを統括するパートナー営業責任者の頃には、パートナーが抱える「ギャップ」に直面した。それは、自社開発のデータベース(DB)を販売するパートナーが、オラクルのDB製品を再販していたことだった。「オラクル専門の事業部をつくって、すべてオラクルを売ってほしい」。オラクルへの投資がどれだけの利益となって返ってくるのか。先方の役員を説得し、ギャップの解消に尽力した。
その後、「当時の新宅正明社長に東京以外の脇を固めてくれと打診された」ことをきっかけに、オラクル社内の支社を含めたエンタープライズ営業体制の基礎を構築する役目を担う。地域には電力、ガス、水道、自動車や総合電機など多様な産業の拠点が置かれていた。
遠い地域にアポイントを入れ、移動するとなると、非常に時間がかかる。そこで地域の異業種十数社のCIOを集めて『異業種CIOサミット』を企画し、効率よく、的確に課題を吸収し、提案につなげるための施策を推進した。
今はマカフィーでエンタープライズ営業を強化する立場として「CIOサミットを開催し、ユーザーにマカフィーを発見してもらう機会にしたい」。次の取り組みはもう始まっている。(文中敬称略)
プロフィール
茂木 正之
(もてき まさゆき)1955年長野県軽井沢出身。ミネベア、日本ディジタルイクイップメント(日本DEC)、ケイデンスデザインシステムズなどを経て、1995年に日本オラクル入社。エンタープライズ分野におけるパートナービジネスを中心に従事。2001年、常務執行役員に就任、9年間にわたり、日本オラクルの支社を含めたエンタープライズ営業体制の基礎を構築。同年子会社のミラクル・リナックスの代表取締役社長も兼任。10年6月、マカフィーに入社、同年7月より現職。