北原信之は、最近、ダーツに凝っている。それも、ゲームに興じるのは深夜の2時か3時頃。今年6月、IT資産管理ソフトを提供するスイスのKaseyaの日本法人が設立された。北原はその日本法人のトップとして、ビジネスの立ち上げに取り組んでいる最中だ。昼間の90%の時間を営業活動にかけて、多忙な日々を送っている。「帰りが遅いので、友達と会う時間がとれず、一人で気分転換ができるダーツにハマるようになった」そうだ。
Kaseya Japanは、ウィルス対策やオンラインバックアップ、電源管理など、クライアント端末を運用・管理する機能を統合したソリューションを商材としている。「海外のすぐれたIT製品を日本で展開したい」──。北原がそう考えたきっかけは、NTTドコモUSAの社員として米国に赴任し、現地のIT企業の製品に触れたことにあった。北原は成城大学の文学部を卒業して、興味を覚えた通信業界に入り、NTTドコモなどで法人向けの商品開発とマーケティングの畑を歩んできた。「鞄一つで日本全国を飛び回るビジネスマンの生活に憧れを感じた」と、その頃の自分を振り返る。
Kaseya Japanは、営業案件が順調に増えており、ある国立大学からの受注がほぼ確定しているそうだ。今回、初めて社長職に就いた北原は、「事業戦略を練るのも重要だと思っているが、まず、丁寧に一件一件の商談締結に力を入れたい」と語る。経営者になった今でも、営業マンの本質を大切にしている。社風は、「外資系でありながらも、お客様に対する日本の礼儀正しさを重視している」という。「相手を尊重する」というのは、北原が経営者としても営業マンとしてもモットーに掲げていることだ。(文中敬称略)
プロフィール
北原 信之
(きたはら のぶ)1997年に成城大学を卒業後、NTTパーソナル通信網に入社。NTTドコモ、NTTドコモUSAで法人向け商品開発やマーケティングの担当を経て、2009年にベライゾンジャパンに入社。11年2月、スイスKaseyaのカントリーマネージャ(日本)に就任する。同年7月に、日本法人Kaseya Japanの設立とともに現職。