IT業界には、海外留学の経験者が少なくない。しかし、留学中に逮捕され、しかも自分の力でそのピンチを乗り越えた経験をもつ人物は珍しいだろう。サーバーなどIT機器の販売を手がけるベル・データの若手営業マン、岡村晃章はそんなまれなケースに遭遇した一人である。「深夜の2時頃、パーティーに参加したメキシコから留学先の米サンディエゴに帰ろうとしたときだった。国境で逮捕されて、出入国管理官から2時間以上にわたって尋問を受けた」のだ。その際、岡村は少ししかできないスペイン語を何とか生かして踏ん張った結果、無事にサンディエゴの寮に帰ることができた──。
ベル・データ第一営業部の岡村は、食品や消費財、流通といった業界の顧客をおよそ100社抱えており、IBMの製品を中心として、ミッドレンジのサーバーと付随インフラを販売している。「アメリカ留学中にいろいろなトラブルに巻き込まれて、それを自分の力で解決した」。その経験をビジネスに活用したいと思った岡村は、帰国後、第二新卒採用で中規模IT販社のベル・データに入社し、営業の経験を積んできた。ベル・データでは今、東日本大震災を受けて、災害時に事業継続ができるソリューションの案件が活発に動いている。まさに、問題解決の方法を熟知する岡村の出番だ。
「2年ほど前に、東北地方に拠点をもつ大手消費財メーカーにBCPソリューションを納入したことがある。その会社は、今回の震災が発生した際にも、支障なく業務の継続ができた」と実績を語る岡村。これから、「もっと深く、業務に近いかたちでお客様の課題をヒアリング」し、企業の安定した事業活動につながるソリューションの提案に励む。(文中敬称略)
プロフィール
(おかむら あきのり)2002年、東海大学工学部経営工学科を卒業後、米国へ留学。8か月間、カリフォルニア州のサンディエゴ州立大学付属の語学学校に通う。03年に帰国。05年1月、第二新卒採用でベル・データに入社し、営業職に就いた。