「すべての中小企業を元気にする」。資金繰りが厳しい中小企業の倒産を回避し、再生に導く事業再生コンサルティングを手がけるフィナンシャル・インスティチュートの代表取締役、川北英貴が抱き続けてきた大志である。
大学を卒業後、地方銀行に就職した。資金繰りに関するメールマガジンを、勤務先に内緒で配信していた。中小企業の経営者から寄せられる反響は大きく、「当時はメルマガが珍しいこともあって結構読まれていた。5000人くらいの読者がいた」。川北はビジネスの可能性を感じ、中小企業を支援する現在の会社を立ち上げた。「メルマガでノウハウ集を販売して収入があったから、起業の不安はなかった」という。
創業から7年以上が経過し、顧問契約会社は300社以上を数える。「目先の利益を追わない。長期的に顧客のためになるかどうか、という視点が大事」だという。すぐれた経営者のポイントとして、「勉強熱心であること」「従業員の長所を引き出す能力があること」「細かい数字で経営を語れること」の三点を挙げる。一方、「失敗する企業の経営者は、主体性をもって動かない。こういう経営者には何度も何度も会って話をするしかない」という。
川北自身、日々勉強。自己研さんに励む真面目な男である。毎日1冊、1年にして365冊のビジネス書を読破することを自分に課している。「とにかくアンテナを張る。話題のウェブサービスを使ってみるようにしている」とも。
息抜きは、幼い息子と遊ぶひと時。また、忙しい合間をぬって球場に足を運び、ひいきの中日ドラゴンズを応援することもあるそうだ。(文中敬称略)
プロフィール
川北 英貴
(かわきた ひでき)1974年8月、愛知県東海市生まれ。早稲田大学法学部卒業。1997年4月、大垣共立銀行に入行。2004年10月、フィナンシャル・インスティチュートを設立し、代表取締役に就任。