IPS(不正侵入防御システム)などセキュリティ製品を展開するセキュアソフト。2011年度、IPS部門で国内ベンダーシェアの首位(ミック経済研究所調べ)を獲得するなど、速いスピードで事業を伸ばしている。
その成長企業を率いているのは、姜昇旭社長。そして、姜の陰でパワフルに動き、事業拡大を支えているのが金慶蘭だ。肩書きは「社長秘書」。「経理や人事、マーケティング支援など、私が関わっていない業務はたぶんない」と語る。
2004年、金が入社したときは、セキュアソフトはまだ社員10人ほどのスタートアップ企業だった。狭いビルにオフィスを構えていた。
「社長が口に出して言う前に、何を考えているかを察し、必要な資料を用意したり、社内の調整をしたり。戦略を練ることに集中することができるように、バックアップしている」という。この9年の間、姜と秘書の金は効率よく機能するチームを組み、会社を成長させてきた。現在は、売上高の伸びが好調。オフィスを広いビルに移し、社員を大幅に増やしている。
彼女は、「常に行動していないと落ち着かない」と自分の性格について話す。仕事に子育て、東京マラソンにも出場した。つらくても、目標を達成したい気持ちが自らを動かしているのだ。今後のミッションとして、後輩たちの育成を掲げている。セキュアソフトはさらなる成長を目指し、若手人材の採用に力を入れている。
「金さんがいてくれてよかった」。彼女は、社内の人たちに心から感謝されることで、モチベーションを高めている。「自分がロールモデルになって、新人をしっかり育てていきたい」と意欲をみせた。(文中敬称略)
プロフィール
金 慶蘭
金慶蘭(Kyung-Ran Kim)
韓国出身。大学在学中に日本へ留学し、日本語を学ぶ。卒業後、韓国のIT関連輸入会社で翻訳や会計などの業務に携わる。その後、結婚して夫とともに来日。韓国IT企業の日本オフィスで経理などを担当する。しかし、過酷な労働環境だったことから転職を考え、2004年にセキュアソフトに入社。社長の業務のバックアップのほか、経理や人事など、幅広い仕事に従事する。