いまや、PC、タブレット、スマートフォンなどであたりまえのように扱うことができるようになった3Dアプリケーション。その技術の核となっているのは、画像処理を行うチップであるGPU(Graphics Processing Unit)だ。GPU大手のエヌビディアに所属する澤井理紀は、GPUを仮想化し、クラウドで高度なグラフィック環境を提供するエンタープライズ向けの新たな事業開発を担当している。クラウド時代の本格化に伴い、ITとユーザーの接点はアプリケーションに集約され、UIデザインは、より重要性を増している。澤井は、そこにグラフィックの革命を起こしたいと考えている。
大学卒業後、ワークステーションなどを扱っていた日本SGIにエンジニアとして入社。エヌビディアのGPUを使ったソリューション開発を手がけるなど、ずっとグラフィック畑を歩んできた。ただ、現在の仕事に求められるのは、大手サーバーメーカーをはじめとするパートナーとコミュニケーションしながら、GPU仮想化技術をソリューションに仕上げていくこと。これに付随して、販社などに向けたセミナーの講師を務める機会も増えた。「人前で話したり、ましてやパートナーと協力して事業開発することになるなんて、少し前まで考えもしなかった」というが、エヌビディアのフラットな社風のなかでグローバルなコミュニケーションを経験したことによって、自分自身が変わった。
日々の業務は多忙だが、「ITでは、エンタープライズでしっかりとつくられて定着した技術がコンシューマにも使われるようになる。GPUの仮想化も私たちの生活を変えつつあり、世の中の役に立っているという実感がある」と、楽しそうに語る。何物にも代えがたいやりがいを、現在の仕事に感じている。
プロフィール
澤井 理紀
澤井 理紀(さわい まさき)
1979年生まれ、神奈川県出身。2002年、大学を卒業後、日本SGIに入社。リアルタイム3次元グラフィックスを利用した可視化ソリューションの開発・販売に携わる。2009年、エヌビディアに入社。フィールドアプリケーションエンジニアとして業務向けビジュアルコンピューティング製品の技術支援に従事。現在はデスクトップ仮想化向けソリューション「NVIDIA GRID」の事業開発を担当する。