IT市場が巨大化しつつある中国については、現地に行かなければ語れない──。インターネットイニシアティブ(IIJ)グループで海外事業を手がけるIIJグローバルソリューションズ(IIJGS)のスゴ腕若手営業マン、坂田佑馬は、上海に進出している製造業の企業に、クラウドなどを活用するインフラ構築を提案している。商談を詰めるために、月数回、上海に足を運んで客先の現地法人を訪問するが、出張ベースだと、どうしても営業トークの引き出しが限られると痛感している。「ここ数か月、貪欲に情報を吸収し、提案する現場で話すことができる内容がかなり増えたが、現地に駐在中のお客様と同じ目線で会話するには、まだまだ足りない。ぜひ、中国に赴任して、現地でのIT活用について生の声で語れるようになりたい」と意気込む。
坂田が現地主義に強い思いを寄せるのは、世界を旅した学生時代の経験があるからだ。中東に旅行したとき、治安が悪いというイメージが懸念材料になって、憧れのシリアに入国するかどうか、迷った。しかし、思い切ってシリアに入ってみたら、バスで隣の席に座ったシリア人と仲よくなり、自宅に誘ってもらって、シリア式のおもてなしを受けた。治安が悪いどころか、「実際に行ってみたら、日本に興味を示してくれるやさしい人ばかり」だったのだ。中国で日系企業向けの営業を行ううえでのコツは、日本本社と現地法人の間に立って、ITに関するそれぞれのニーズをうまく調整するということだ。「坂田さんと話すと、気分が明るくなる」と、後輩に慕われることが多い。このように、人の心をつかむ力を発揮し、中国ビジネスを本格的な拡大につなげようとしている。(文中敬称略)
プロフィール
坂田 佑馬
坂田 佑馬(さかた ゆうま)
2008年、AT&Tジャパンに入社。金融機関や製薬会社向けの営業を担当。10年、インターネットイニシアティブが、米AT&Tの一事業部門を買収してIIJグローバルソリューションズ(IIJGS)の事業に組み込んだのを機に、IIJGSに移籍した。現在、中国・上海に進出している日系企業に対して、ITインフラ構築などの提案を行っている。