幼少期から高校生にかけて、父の転勤に伴って世界中を渡り歩いた。多様な文化に触れた経験は、順応性という得がたいスキルを与えてくれた。常にオープンマインドで、柔軟性をもった生き方をしたいと考える源泉にもなった。古代ローマの詩人ホラティウスの詩の一節「カルペ・ディエム(いまをつかめ)」が座右の銘だ。
前職の日本アバイアでの日々は、十分に充実していた。競合でもある現職への誘いには、なかなか首を縦に振ることはできなかった。「パートナーやお客様に裏切ったと思われたくなかった」と、ポール・伊藤・リッチーは振り返る。一方で、コンタクトセンター向けのソリューションをクラウドで提供するインタラクティブ・インテリジェンスの商材には、ユーザーのメリットという面で大きなポテンシャルを感じていた。「顧客のニーズに、より的確に応えるには、今の立場にこだわるべきではない」。カルペ・ディエム。腹は決まった。結局、顧客やパートナーは、「モノ」よりも「人」についてきてくれる。この結論は、今でも間違っていないと確信している。
大学では、ラグビー部とゴルフ部に所属したが、最初はとまどいながらも、もち前の順応力で体育会系の縦社会にもすんなりなじんだ。ラグビーでのポジションはスクラムハーフ。フォワードとバックスをつないでゲームメイクするのが主な役割だ。「営業は、社内のメンバーとパートナーやお客様をつなぐ、まさにビジネスのスクラムハーフ。お客様のビジネスをドライブするという共通の目的に向かってみんなを盛り上げるのが、たまらなく楽しいし、やりがいがある」と話す表情には、エネルギーが満ち溢れている。(文中敬称略)
プロフィール
ポール・伊藤・リッチー
ポール・伊藤・リッチー(Paul Ito Ricci) 1974年、米ロサンゼルスで、ロイター通信に勤務していた米国人の父と日本人の母の間に生まれる。父の転勤に伴い、カナダ、南アフリカ、英国での生活を経験。19歳で来日し、日本の大学に入学。卒業後はブルームバーグ、ディレクTV、レベルスリー・コミュニケーションズを経て、2005年に日本アバイアに入社。パートナー営業を中心に担当。13年7月、インタラクティブ・インテリジェンスに移籍。