「ITのスキルを身につけた女性は強い」と、柄崎有香は考えている。システム開発の現場は男性が多い。そこに女性が加わることで、「現場が明るい空気に変わる。女性目線のアイデアもいい」と評価され、女性がチャンスに恵まれる業界だと確信した。
システム開発の現場に技術者を派遣することを、事業の柱の一つとしているグローブテックジャパン。同社で営業やマーケティングを担当する柄崎だが、そこまでの道のりは平たんではなかった。
資格はもっていないし、これといった経験もない。二人の子どもを抱えてもいる。働きたくても、雇ってくれるところは簡単にはみつからなかった。最初は地元のスーパーで「レジ担当のパートをやっていた」と柄崎。もちろん、レジ担当も立派な仕事だが、収入が限られるのと、将来に役立つようなスキルが身につかないことに不満があった。
転職先を模索するなかで、たまたま地元の税理士事務所に転職できた。すると、子どもに手がかからなくなった頃に、税理士事務所と取引のあったグローブテックジャパンから、営業職として声がかかる。これがラッキーだった。そこで柄崎は、システム開発の現場では女性が活躍できることを知る。
以降、柄崎は未経験の女性を積極的に採用している。「ITは勉強したことを現場で生かしやすく、スキルアップもしやすい。未経験者だった女性でも、スキルを身につけて活躍している。本当に輝いている」と柄崎は語る。多くの未経験者が現場で活躍できるように、社内教育の充実も図った。とはいえ、まだ女性の技術者は少なく、満足していない。「もっと女性にシステム開発の魅力を伝えたい」と柄崎。技術者が不足しているといわれがちなIT業界。女性の力が、その状況を救うのかもしれない。(文中敬称略)
プロフィール
柄崎 有香
柄崎 有香(つかざき ゆか)
1980年6月生まれ。富山県出身。シングルマザーとして2児の男の子を子育て中。ITベンチャー企業および税理士事務所での経験を経て、グローブテックジャパンに入社。営業やマーケティングを担当する。