「種類が豊富で食べ物とあわせやすい」。中世に修道院で密かにつくられるようになったとされるベルギービール。修道院ごとに秘密のレシピがあるという。修道院以外の醸造所もあり、ベルギービールは奥が深い。ビールにあう食材、食材にあうビール。豊嶋修平は、その歴史と豊かな味に魅せられ、ビストロ系の料理をつくることが休日の定番となっている。
学生時代、バンド活動を始めるも、バンドよりイベントの運営側に興味をもつようになる。当時は、学生の間でビジュアル系バンドが全盛期。「運営側として人を集めて動かす。いざやってみたら、とても新鮮だった。ビジュアル系バンドといっても、特徴はそれぞれ違う。1組のバンドでは難しいことも、複数のバンドの組み合わせによって、ライブハウスの盛り上がりが変わってくる」。自分は、ステージの中心に立って盛り上げることに向いている。そう思っていただけに、運営側の楽しさにハマる自分が意外だったという。
コンサルティングファーム、起業を経て、アビームコンサルティングに転職した。現在はIoTに取り組んでいる。コンサルタントを経験している豊嶋は、IoTの魅力を“新しい何かを生み出す”ところにあると感じている。「コンサルティングはプロセスから入り、方法論を提示するのが一般的。IoTにはそれとは違う切り口がある。既存のプロセスではなく、データをもとに今までにないアプローチができる」。新しい何かを生み出すとするのは、そのためだ。
秘密のレシピが、ベルギービールの魅力を深化させる。だが、そのレシピは知らなくていい。欲しいのはビールと料理の組み合わせで生まれる、新しい何か。「テーブルに並ぶ姿をイメージするのも楽しい」と創作意欲は止まらない。(文中敬称略)
プロフィール
豊嶋 修平
豊嶋 修平(とよしま しゅうへい)
1980年、愛知県尾張旭市生まれ。2003年、青山学院大学経済学部卒業。学生時代はバンドイベント企画団体を立ち上げ、組織運営にいそしむ。大学卒業後外資系コンサルティングファームを経て、エンタープライズ向けITソリューションプロバイダに創業メンバーとして参画し、規模拡大に貢献。現在はアビームコンサルティングにてIoT/AIソリューションの構築を担当。ビジネスシナリオやアーキテクチャの策定を中心にソリューション構築のリードを務める。