「いろんな国の人とかかわりをもちたかった」。福島英一は高校卒業後、日本を飛び出す。行き先は移民の多いニュージーランド。一年の語学研修のあと、大学でコンピュータサイエンスを専攻。もともとコンピュータが好きなこともあって、三年間の大学生活でネットワーク技術を学ぶ。卒業後はインターンとして現地の企業を経験する。ここでの環境が外資系企業への入社のハードルを下げた。また、修得した語学力を生かしたいという強い思いもあった。
日本に帰ってきたのは二月、就活のやり方もわからなかった。留学時代の友人が紹介してくれたエージェントが薦めてくれた企業のなかにアドビがあった。自分のバックグランドはネットワークという思いもあったが、縁を感じ、アプリケーションの業界を選んだ。日本での新卒採用第一期生だったが、社内の雰囲気はフランクで仕事もやりやすく、すぐに溶け込めた。
社内には「Check-in」というキャリアアップ制度があり、福島はそれを活用しプログラムマネージャーから品質管理、ソフトウェアエンジニアと仕事の幅をひろげていく。その根底にはさまざまなテクノロジーにかかわっていきたいという強い思いがある。
社会が変われば、企業のあり方も変わる。当然、そのなかでは働き方も変わる。いかに頭を使って対応するか、「そこが一番重要かな」と福島はいう。そういった企業が生き残れると断言する。時代の流れは速い。人間なので時には疲れるが、それをうまく楽しさに変える。逆に、ある程度疲れていた方が、「マンネリ化しているより刺激がある」と笑う。
将来は、米国本社が中心という開発の流れだけではなく、ローカル(日本)で開発し世界に発信するという新しい流れを構築したいという。正しいと思ったことを押し通す力が、その思いを支えている。(敬称略)
プロフィール
福島英一
(ふくしま えいいち)
1985年、東京都台東区生まれ。高校卒業後、オークランド工科大学(ニュージーランド)に進学し、コンピュータ・サイエンスを専攻。卒業後に帰国し、アドビ システムズの日本での新卒採用第一期生として入社。現在9年目。社内のユニークな人事制度「Check-in制度」によってさまざまな仕事を経験。社内でのキャリアアップを経て、今は研究開発本部でソフトウェアエンジニアとして働く。2017年に企画開発した「Adobe Stock」のMicrosoft PowerPointとの連携機能は、世界中のパワーポイントユーザーの写真検索作業に大きく貢献している。