富士通マーケティングと
日本マイクロソフトの
“世界初”のサービス  |
FJM 菊地部長 |
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FJM 村松部長 |
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日本マイクロソフト 浅野部長 |
富士通マーケティング(FJM)と日本マイクロソフトが、10月、強力なタッグを組み、意表を突くサービスを開始した。両社は、中堅・中小企業向けのサーバー仮想化分野で協業。「Microsoft Windows Server 2008 R2 Hyper-V(Hyper-V)」の構成済みサーバーに、Hyper-V構成済みアプリーケーションを組み込んで、FJMと販売パートナー経由で提供している。
サーバーには、仮想化で集約率が高い「PRYMERGY RX200 S6(2WAY)」と、中堅企業に多く利用されている「PRIMERGY TX150 S7(1WAY)」を用意。従来から実施していたWindows Server OSのインストール済み出荷に加え、「Hyper-V」をあらかじめ構成して出荷するサービスを揃えた。
FJMは、11月上旬、Hyper-V構成済みサーバーにHyper-V構成済みアプリーケーションを組み込んだ「AZBOX」を発売した。同時期に、同社がもつ「アプリケーションストア」を通じてHyper-V構成済みアプリケーションの提供を開始した。「アプリケーションストア」では、ファイルサーバーやバックアップ管理、グループウェア、基幹業務、クライアント統制、情報分析、ウイルス対策などの分野からなる計18のアプリを選ぶことができる。サイボウズやウイングアークテクノロジーズ、シマンテックなどが提供パートナーだ。ラインアップは順次拡大し、3月までには50アプリにする方針を掲げている。FJMの菊地徹・ビジネスパートナー本部サービスビジネス推進統括部サービスビジネス推進部長は、「客先に出向いてインストールするかたちが、今後も数年は続くだろう」とみる。
ユーザー企業は、サーバー集約によるコスト削減をはじめ、オンラインサポート、仮想ハードディスク保守による迅速な復旧などが可能となる。
パートナー企業にとって商機に結びつくのが、ハードウェアの「償却期間を目安にする投資予算」からの脱却だ。仮想サーバーでシステムを容易に追加できるため、ハードウェアの入れ替えを起点とする商談は必要なくなる。これはFJMにとって重要な点だ。IT投資がかさむために苦戦が続くアプライアンス製品「AZBOX」の販売拡大を後押しするポイントとなり得るからだ。「仮想化は販促にもなる」(菊地部長)とみる。
物理サーバーの出荷台数は、このところ大きな変化はしていないが、仮想用途で出荷するサーバーとその上で動作する論理仮想サーバーは継続的な成長が見込める。調査会社のガートナージャパンが2010年11月に実施した調査によると、SMBにおける仮想化導入率は50%未満にとどまる。一方で、SMBの仮想化への関心は高いという状況がある。とくに、従業員数100人から999人の企業で40%以上が、3年以内に新規導入予定あるいは興味あり、と答えている。
ガートナー調査では、これまでSMBが仮想化をためらってきた要因に、「安全性・信頼性」「費用対効果」「障害時の切り分け」があることが判明している。FJMと日本マイクロソフトは、こうしたユーザーの懸念を払拭するサービスであることを強調する。
また、非常に強いOEMチャネルや中小企業への低いサーバー導入率などの日本の独自性が障害となっている、というのが両社の見立てだ。日本マイクロソフトの浅野智・サーバープラットフォームビジネス本部プライベートクラウド製品部部長は、「容易に導入できる仕組みとして、ハードウェアとソフトウェアのサービス一体型で提供する必要性を感じていた」と話す。
日本マイクロソフトによると、Hyper-V構成済みハードウェアとソフトウェアをパートナー企業が販売することは世界で初めてだ。FJMは、「グループ再編以前、大手企業向けのサーバー販売に走る傾向があった」(村松直岐・ビジネスパートナー本部サービスビジネス推進統括部長)という反省に立ち、SMB市場で再攻勢をかける。