Special Feature

医療と健康に寄与するパーソナルヘルスレコード 広がるエコシステムでさらなる普及へ

2025/06/26 09:00

週刊BCN 2025年06月23日vol.2064掲載

 「パーソナルヘルスレコード(PHR)」を活用したサービスやビジネスを立ち上げる企業が増えている。PHRとは、個人の健康や医療などに関わるデータを指す。日常の血圧や心拍数、検診・受診の記録などを管理・活用することで、医療機関での診察をスムーズかつ適切に受けやすくなったり、健康状態の変化を発見しやすくなったりなど、病気の予防や健康増進などの効果が期待できる。PHRサービスを提供する事業者などで構成するPHRサービス事業協会や、PHRに関わるサービスを展開する事業者の取り組みから、PHRの現在地を読み解く。
(取材・文/大向琴音)
 

入力ツールから管理・閲覧ツールへ

 PHRは、個人がスマートフォンのアプリケーションやウェアラブルデバイスなどで管理する歩数や心拍数、睡眠時間のほか、体重や血圧などのバイタルデータ、医療機関が発行する検査結果や診療情報、検診結果など多岐にわたる。

 2025年4月には、総務省が「PHRサービス提供者による健診等情報の取扱いに関する基本的指針」を公表しており、国もPHRの具体的な活用に向けて動き出していることが分かる。PHRサービス事業協会(PSBA)標準化委員会の松原久雄・委員長は「さまざまな場所でPHRという言葉の露出が増えてきた」とみている。社会における認知度が徐々に高まってきている上、例えば、マイナポータルを通じてデータを取得することができるようになるなど、PHRを実際に使える環境も登場してきている。PHR活用の下地は整いつつあるとの認識だ。
 
Welby 比木 武 代表取締役

 また、PHRサービス自体もより使い勝手のよいものに進化している。PHRを活用した健康管理サービスなどを提供するWelbyの比木武・代表取締役は、「(PHRは)入力ツールから、管理・閲覧ツールへと変化した」と分析し、変化の要因としてテクノロジーの進歩を挙げる。初期のころのPHRサービスでは、個人や医療従事者がデータを手作業で入力していたが、現在は血圧を測れば計測結果が血圧計から自動で連携されるなど、手入力をせずともデータを蓄積できるようになってきた。これにより、データの取得が簡便になった上、手入力の場合起こり得る入力ミスも防げるため、より正確性も実現できるようになった。
この記事の続き >>
  • 基盤のオープン化で独自のアプリ提供を支援
  • 大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンでデータ連携基盤として活用
  • エコシステム構築を進めてPHRの普及進める

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外部リンク

PHRサービス事業協会=https://phr-s.org/

Welby=https://welby.jp/

BIPROGY=https://www.biprogy.com/