ビジネスチャンスを開く新しいホスティング セキュリティ、運用管理の課題を解決

 情報の蓄積、活用に加え、情報の保護が企業の大きなテーマになっている現在、データ損失の回避、情報漏えいのリスク軽減などで内部統制の強化は避けて通ることができない。そうしたなか、2007年7月の発表以来、注目著しいのがさくらインターネットの「ビジネスホスティング」だ。国内有数の規模を誇る大容量かつ高速なバックボーンを擁し、7年以上のホスティング、データセンター事業に携わってきた同社ならではの“オフィスのITまるごとアウトソーシング”は、安全性に加え、便利さを同時に実現する。そこで、代表取締役社長兼最高経営責任者・笹田亮氏と、執行役員 企画部部長・舘野正明氏に、導入のメリットや販売戦略などについて話を聞いた。

■時代の要請に応えるソリューションをワンストップで提供

 企業は、事業継続、個人情報保護、内部統制といった時代の要請に応えていかなければならない。

 さくらインターネットの「ビジネスホスティング」は、社内のイントラ上に整備されているメールやグループウェア、ファイルサーバー、PCのデスクトップ環境などの業務環境を、データセンター内に専用のシステム環境を用意する新たなアウトソーシングサービスとしてだけでなく、「Exchange」「セキュア・ファイラー」「リモートデスクトップ」の3つのアプリケーションとSANストレージが織り成す、優れた安全性が注目されている。

 笹田亮社長は、「24時間365日の保守運用体制を備えたデータセンターで預かるデータは、SAN上に保存され、利用するPCにはデータが残りません。また、SANは常時フルコピーを行っています。分散していたデータをデータセンターに集約することで一元管理が図れ、データ損失の回避、情報漏えいのリスク軽減、日々の業務の継続性といった企業が抱える問題のソリューションをワンストップで提供します」と解説する。セキュリティを強化したことで自宅や外出先で作業ができないといった生産性の低下が問題となっているだけに、高度なセキュリティを備え、安全で効率的なデータ共有や管理ができるのは大きな魅力だ。

 さらに、ビジネスホスティングは使いやすさに重点を置いている。

 「サービスの原点は当社が実践してきた業務環境です。24時間体制をとる運用部で、何台かのパソコンを複数の人が使う場合、どのパソコンからでも同じ業務環境にログインできる環境が必要でした。リモートデスクトップを知り、実際に使っていく中で、ファイル、メール、グループウェアを一元管理できるサービスの事業化を計画、同サービスが誕生しました。管理においても、新入社員に対してメールアカウント、グループウェアの登録、PCのIDやパスワードの付与などを人事や総務部門が行えるよう、Web上のインタフェース(コントロールパネル)を用意しました。通常、ActiveDirectoryを利用する場合、高度な知識が要求されますが、必要な情報を入力するだけで認証機能が使えます」(笹田氏)。専門の管理者不足に悩む企業にとって、管理のしやすさは、TCOの削減、本業回帰、生産性の向上につながる重要なファクターとなる。

 また、グループウェアやファイルサーバーなどのアプリケーションは、1ライセンスごとに月額1050円で購入できる。必要な分だけ購入すればいいので無駄なコストも発生しない。このように、オフィスのITをまるごとアウトソーシングする「ビジネスホスティング」は、企業の悩みを解決するソリューションといえるだろう。

■期待高まるSIerとの協業 広がるビジネスチャンス

 さくらインターネットにとって、新しいサービスとなるビジネスホスティングは、従来のコンテンツ配信事業者やASP事業者とは異なり、PCを導入している企業がデータセンターの新しいターゲットユーザーになる。

 笹田社長は、「ビジネスホスティングでは、新規顧客を開拓するために、SIerなどのパートナーの力を借りていくことになります。運用管理の手離れのよさに加え、Windowsサーバーベースのシステムであるため既存のハードウェア、ソフトウェア資産が活用できます。クライアント端末もWindows、Mac、Windowsモバイルが利用可能です。とてもシンプルな構造なので、SIerにとっても今まで販売してきた製品をそのまま利用、提案できます」と、SIerにとってメリットのあるサービスだと力説する。

 クライアントがデータを持たない手法としてはシンクライアントもあるが、「シンクライアントは、導入コストが高いのが難点です。このため、中堅・中小企業では導入をあきらめるケースが少なくありません。クライアント端末を選ばない、安価なビジネスホスティングを利用することで、今までカバーできなかった案件、失注していた案件が拾えるようになると思います」と、舘野氏もSIerにとってのビジネスチャンスの広がりをポイントに挙げる。

 「リモートデスクトップがフックになっている部分もありますが、総合ソリューションとして提供したいというのがSIerの意見です。提供先は、目前に迫ったJ-SOX対応に追われる大企業は当面のターゲットとなりますが、ボリュームゾーンではSMBがメインターゲットになります。そのために、代理店制度を用意し、SIerと協業して全国サービスを展開する予定です」(笹田氏)と、サービス領域の拡大を目指す。

 「今後、サービスがパートナーなどを通じて認知されてくれば、SMB市場に普及していく」(舘野氏)と認知度向上を図る一方、サービス自体の拡充についても、ベンダーとのアライアンスを進めている。

 笹田氏は、「今後はいろいろなアプリケーションをサービスとして乗せて行くことになるでしょう。いつも同じ業務環境に触れることができるのは非常に便利だと思います。その良さを伝えるのもこれからの大事な仕事です。そして、協業するSIerにとって、手離れがよく、しかも従来から提供する製品と競合することなく、新たな商材として担ぐことで自社の製品がより売りやすくなるということをアピールしていきます」という。

 国内有数の規模を誇る大容量かつ高速なバックボーンを擁し、ホスティング、データセンター事業を展開してきた、さくらインターネットの新しい発想と行動力に今後も注目したい。(週刊BCN 2007年8月27日号掲載)

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