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<富士通エフ・オー・エム特集> ITの効果的な利活用のために“誰でもわかる、使える” サービスをワンストップで提供

2007/10/17 15:49

週刊BCN 2007年10月15日vol.1207掲載

 富士通オフィス機器は、10月1日付で「富士通エフ・オー・エム」に社名を変更した。これを機に「ITと人の橋渡し役として、企業の最適なIT活用をサポートする会社という評価を定着させていく」(横田昌治社長)意向だ。「ITを効果的に活用できるかどうかは、今後の企業の盛衰を左右する重要テーマです。お客様の要望に応じて、当社の強みである利用者の立場に立ったわかりやすい研修サービスをワンストップで提供していく」と語る横田社長に、社名変更の狙い、今後の戦略などを聞いた。

■研修サービス利用者は3600万人 業界指折りの出版実績

photo 富士通オフィス機器は、1981年に設立、当時富士通が発売したワープロ・パソコンの販売会社として創業した。以降、グループ会社の役割分担の見直しがあり、83年には、ショールームの運営とワープロ・パソコンの研修サービスを担当することになった。同社の原型がここにある。

 現在、同社の事業内容は、大きく「研修サービス」、「テキスト/マニュアル作成」、「e(電子)マニュアル/Webコンテンツ制作」に分類でき、その沿革を次のようにたどる。

 (1)87年に研修サービスの名称を「富士通マイゼミナール」とし、パソコン黎明期における個人需要を満たす定期講習会から、90年代半ば以降の企業需要の活性化を受け、現在では、研修サービスの9割を企業、官公庁、医療機関、学校向けに実施している。年間平均16万5000人、累計で3600万人が利用している。また、国が推進する雇用促進事業にもITの分野で積極的に取り組み、01年から実施している離職者向けIT委託訓練では4万7000人(内数)が利用している。

 (2)89年にテキスト出版事業を開始し、研修サービスで使用するテキストの編集を自社のインストラクターが行い、「よくわかるシリーズ」(FOM出版)として、書店での販売も行っている。出荷数は、年間平均150万部、累計1800万部にのぼり、パソコン関連書籍を出版する業界でも指折りの実績を持つ。また、これら編集や出版のノウハウを生かし、個別ユーザーに対応した研修テキスト、マニュアルの作成も請け負っている。

 (3)2000年、eマニュアル/Webコンテンツ事業を開始して以来、この数年でeマニュアルの利用者は急増し、年間平均9万人に達するという。

■事業の実態に合わせた新社名

 10月1日付で社名変更を実施したのは、事業内容と社名の不一致を是正すること、サービス領域を明確化する、ということが大きな理由である。

 「富士通オフィス機器というと、機器の販売を今でも行っているような印象を与えてしまいます。また、今後、当社が果たすべき役割は、IT利用者に向けた研修サービスを通じて、お客様のマネジメントをお手伝いすることだと考えます」と横田社長。

 新社名「エフ・オー・エム(FOM)」の「M」は、これまでのマシン(Machine)から、マネジメント(Management)を意味する。

■eマニュアルを活用した業務システム研修

 現在、同社では、これまでの実績を生かし、個々の顧客のビジネスの方向性や戦略に即したオーダーメイドで研修や研修教材の提供を行っている。なかでも、最近では動画を活用したeマニュアルの提供に力を入れる。

 ホームページコンテンツなどのWebコンテンツ制作を実施してきた同社は、見易さ、使い易さに配慮したコンテンツ制作も得意とする。「ある製造メーカーの依頼で、基幹システムの操作マニュアルを作成しました。従来200ページくらいあった紙マニュアルを動画とナレーションを採り入れ、業務の流れ、システムの操作方法を解説したeマニュアルにしたんですが、今までは習得に8時間かかっていたのが1/4の2時間で済むようになったと、お客様にたいへん喜んでいただきました」と横田社長。

 また、ある自動車会社のCADと図面管理システムに関する操作マニュアル商談では、親近感の湧くマニュアルにしてほしいとの顧客からの要望に対し、顧客の社員を登場させた芝居調のeマニュアルを作成した。身近な人の登場が親近感を呼び、わかりやすいだけでなく、親しみがあり学習意欲をそそると好評だったという。

 「これから団塊の世代が退職期を迎えますが、彼らの持っていた技術を効率的に伝えるにはどうしたらいいか、多くの企業が悩んでいます。匠の技術を理解するのに最適な動画を活用したマニュアルの開発を伸ばしていきたい」と意欲的だ。

■セキュリティや内部統制対策も

 最近、個人情報保護法、会社法、金融商品取引法といった法令の施行や、国内外で頻発する震災などにより、セキュリティや内部統制、事業継続といったキーワードがクローズアップされる。「企業のCSRに関する課題に対応するには、社員一人ひとりの啓発が重要になります。しかし、こういった関連の専門書は分厚く読み終えるのに相当な覚悟と時間を要し、なかなか全社員が読むには至りません。そこで、よくわかるシリーズのラインアップとして、イラストや図表を多く取り入れて、誰もがその意義や取り組みを短時間で理解できるようなテキストを作成しました」という。現在刊行しているのは、「よくわかる個人情報保護」「よくわかる内部統制」「よくわかる不測の事態に備える事業継続BC(ビジネスコンティニュイティ)入門」などだが、いずれも持ち運び易いB6版、120-130頁にまとめられている。「よくわかる個人情報保護」「よくわかる内部統制」は、手軽に学べる内容とボリュームが好評で、発売以来600社、3万5000冊以上の採用実績を持つという。

■インストラクター新制度導入により、コンサルティング力を強化

 「当社の社員構成は、500人中400人が女性、うち約8割がインストラクターであり、女性ならではのきめ細やかな視点、発想を随所に取り入れてきました。こうしてできあがった、わかりやすく、お客様視点のサービスというのは、当社の企業文化そのものになっており、今後もこのDNAを生かしていきます」と横田社長は強調する。

 「また、コンサルティング、研修企画、教材開発、研修実施までワンストップで提供できることが当社の強みです。この強みを最大限に発揮し続けるためには、当社自身もさらに努力しなければなりません。例えば、コンサルティング力の強化にはさらに力を入れ、インストラクターのスキルアップ、モチベーションの向上を社名変更にあわせ、図っていかなければなりません。インストラクターの呼称を整えたのもそのひとつです」という。

 企業としての企画・提案力に加え、コンサルティング力を持ち合わせたインストラクターを育成するため、新呼称を、インストラクター、トレーニングアドバイザー、トレーニングプランナー、トレーニングコンサルタントと段階別に区分けした。

 「人とITの橋渡し役として、利用者の立場にたった研修サービスを、オーダーメイドで提供し、利便性と効率性を高めることにより、お客様の発展に貢献したい」というのが横田社長の決意だ。(週刊BCN 2007年10月15日号掲載)
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外部リンク

富士通エフ・オー・エム=http://jp.fujitsu.com/fom/