国内ブレードサーバ市場の活性化を牽引

 日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)が国内ブレードサーバ市場の活性化に乗り出した。今年9月に中小規模システムに最適な製品と位置づけた「HP BladeSystem c3000」を市場投入。大規模システムで導入が多かったブレード市場に一石を投じる戦略的な製品として拡販を図っていく。需要を掘り起こしていくのは、主にこれまでメーカー各社がブレードサーバの販売でなかなか攻め切れていなかったSMB(中堅・中小企業)だ。“ラックマウント型サーバからブレードへ”というユーザー企業によるリプレースの概念をも覆し、“タワー型サーバからの置き換え”を促進。そのためにも、販売代理店とのパートナーシップを深めていくことを柱に据えている。



■中小向けブレードを市場投入 キャンペーンで垂直立ち上げへ

 今年9月中旬、ブレードサーバを取り巻く業界に激震が走った。日本HPが“中小規模システム向け”と銘打った第3世代のブレードシステム「HP BladeSystem c3000」(以下、c3000)を発売したのだ。都内ホテルにて開催された記者発表会では、日本HP 取締役副社長執行役員 石積尚幸氏が「当社では、07年を“中小企業のIT化元年”と定めてビジネスを手がけてきました。それを一段と具現化させたのが今回の製品です」とアピールしていたほどだ。

 「c3000」は、2006年6月より販売を開始した大規模システム向けの「c7000」に続くブレードシステムで、日本HPにとってサーバ事業を拡大するための戦略製品に位置づけられる。サーバブレードを最大で8台の搭載が可能なほか、エンクロージャのサイズを縦26.5cm、横48.5cm、奥行83.5cmと、かなりコンパクトに仕上げている。8台のタワー型サーバを設置する場合と比べ、63%の省スペース化を実現。ラックの設置や専用のキーボード、モニタ、マウスなどの接続が不必要で、エンクロージャへのネットワークや電源配線とシステム管理用パソコンだけでシステムを構成できる。ほかにも、これまでユーザー企業への導入で障壁になっていた電源の問題を解決し、通常の100V電源でクアッドコアCPU搭載のサーバブレードをフルに搭載できる。これは今日時点では、他社のブレードサーバで実現できていない。また、“ストレージブレード”を搭載することで、エンクロージャ内でのストレージ共有が可能なことに加え、NAS(ネットワーク・エリア・ストレージ)に対応した「HP StorageWorks All-in-One SB600cストレージブレード」でストレージの統合化にも対応可能だ。さらに、複数サーバに対してOSを同時インストールすることができるDVD-ROMドライブを搭載。今までサーバ1台につき1時間以上(計8時間以上)かかっていた作業を2時間30分程度と大幅に短縮した。

 また、今回の製品投入で同社が競争力の1つに打ち出したのは価格戦略だ。c3000の発売開始と同時にキャンペーンも実施し、クアッドコアCPU搭載のサーバブレード1台とエンクロージャおよび必須オプションで税抜50万円(定価112万5180円(税込))と定価の半額以下、ほかにもデュアルコアCPU搭載ブレード2台とエンクロージャで100万円(同187万4880円(税込))、クアッドコアCPU搭載ブレード2台とエンクロージャで100万円(同183万2880円(税込))も用意した。エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 インダストリー スタンダード サーバ製品本部長の上原宏氏は、「このキャンペーンは、中小規模システムでブレードサーバを積極的に活用していただくための策です。市場を垂直的に立ち上げます」と自信をみせる。「c7000」発売の際も、サーバブレードを3台購入すればエンクロージャの価格が315円になるなどといったキャンペーンを行ったが、「とくにSMBでは、まずブレードサーバを1台購入してみるという傾向が多いと考えています。そういった様子見のお客様でも、気軽に購入できるような環境を整えたのが今回のキャンペーンです」と、上原本部長は強調する。

 国内ブレードサーバ市場は、激しいシェア争いが繰り広げられている。その状況下、同社は著しく成長を遂げている。ある調査会社によれば、同社は07年第2四半期にトップと僅差で2位にランクインしたという。そのため、トップを獲得する可能性を十分に秘めており、ブレードサーバ市場の構図を覆しそうだ。

■タワーの置き換えで需要を掘り起こしトップを狙う

 「今回の製品は、タワー型サーバからの置き換えも対象にしています。これまでの“タワーからラックマウント、ラックマウントからブレード”という流れを大きく変えることができますので、眠っている需要を掘り起こせると確信しています」と、上原本部長は強調する。ラックマウント型サーバからの乗り換えが多かったブレードビジネスに変革をもたらすということだ。これにより、マーケットシェアで「近い将来に必ずトップを獲得します」と、上原本部長は断言する。ブレード関連ビジネスの売上高については具体的な数値を明らかにしていないものの、成長しているx86サーバの中で「売上比率が今年度(07年10月期)第3四半期の時点で13.7%に達しています。2010年度までには25%まで伸ばしていきます」としている。

■販売支援強化で一気に拡販

 日本HPがブレード関連ビジネスを拡大する上で最重要課題に掲げているのは、販売代理店とのパートナーシップだ。今年6月には販売支援制度を刷新。なかでも、販売主流のプログラムを重視した。上原本部長は、「技術支援や製品の互換性を検証する環境を整えることはもちろんですが、お客様に対してブレードの良さをどのように伝えていくか、それが重要と考えました。ですので、今回のプログラムは販売パートナー様が売り方の提案に重きを置けるように改善しました」と訴える。

 販売支援制度の強化で、「c3000」の販売を開始した今年9月の時点で販売代理店は13社から23社に増えた。上原本部長は、「パートナープログラムに参加いただいた販売パートナー様とともに、一気に拡販できる体制が整いました」としている。確かに、販売代理店をみると、大企業へのシステム構築を主力事業に据えるSIerや、SMB向けの製品・サービス提供が得意なSIer、大量に販売するディストリビューション機能も事業の1つとして手がけているマルチベンダーなど、様々な顔ぶれが揃っている。

 日本HPでは、全社を挙げて間接販売の強化に取り組んでいる。ブレードサーバの間接販売の売上比率は、「現段階で約60%。タワー型/ラック型サーバと比べると、まだまだ低いのが実情です」と、上原本部長は打ち明ける。これを、70%まで引き上げることを目指している。この目標を達成するには、販売パートナーが大きな役割を果たす。(週刊BCN 2007年10月22日号掲載)

日本ヒューレット・パッカード=http://www.hp.com/jp

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