Special Issue
驚異的なスピードで受験者数を伸ばす「LPIC」 システム開発企業ビジネスパートナー制度で裾野を拡大へ
2008/01/10 15:49
週刊BCN 2008年01月07日vol.1217掲載
欧米をリードする日本、「LPIC」受験者数の過半数を占める
世界130カ国以上で展開され、2007年9月には受験者数が16万人を超えたLPIC。ここ2年半で世界の受験者数が8万人増と急成長を遂げた要因、日本の受験者数が過半数の8万人を超えた理由とは?池田氏【エルピーアイジャパン】
Linuxは、商用以外に調査では見えてこないシェアも多いため、特定のディストリビューションに依存しないニュートラルな認定資格制度「LPIC」への関心が高まってきたといえます。日本は資格に対して世界的に見ても関心が高く、LPICにおいてもエルピーアイジャパンが先進的な役割を果たし、カナダの本部に適切な助言をしてきました。ここ2年半くらいで一気に受験者数が伸びましたが、過去にも新しい技術の登場からビジネスに至るまで5年程度かかったように、Linuxも“ムーブメント”は2004年から2005年にかけて本格化しました。こうした流れ、そして適正な価格が受験者数の増加につながっているといえるでしょう。ビジネスパートナー各社のLinuxへの取り組みとLPICを取得するメリットを教えてください。
赤井氏【日本ヒューレット・パッカード】
国内では1998年頃、Linuxのコンピテンシーセンターを組織化し、その後、企業向けLinuxのニーズに応えるため、OSとHWの環境をワンストップで提供できるようにプリセールス体制と24時間保守体制を構築しました。Linuxは、当社サーバの約20%のシェアを占めており、今後も、Linuxディストリビューションに注力していく予定です。LPICについては、当社がというよりもパートナーが体系的に覚えられるLinuxビジネスのベースという認識を持っています。パートナーは、OSやハードウェアを知ることが重要で、その際にLPICの取得の有効性をパートナー自身が理解しています。浜口氏【日本ビジネスコンピューター】
1999年にLinuxへの取り組みを開始し、2007年現在、IAサーバにおいて約30%をLinuxが占めています。Linuxはサーバだけではなく、ネットワークやセキュリティなどのエンジニアにとってもベースとなります。Linuxの動きを知らないと満足度の高い運用や提案には結びつきません。当社では、現場に即した教育を優先させています。そうした中で、目標を実現する一つのステップにLPICを推奨しています。中立的で技術的な本質を見極める問題が出題される点などに特定のベンダーが設ける資格制度にないメリットを感じています。小林氏【ホンダヱンジニアリング】
メーカーの受託開発、インフラ構築を提供してきた独立系のSIerとして、1998年からLinuxに取り組み、今日までシステム構築を手掛けてきました。2004、5年に本格的なビジネスへの転機となったのが、組込み系のアプライアンスの開発、もう一つが銀行や証券、国有機関などの大規模システムの構築でした。当社はベーススキルとして、Linuxをキーワードに掲げ、全社員が取り組んでいます。LPICを知る以前は、ベンダー系の資格を取得していましたが、現在ではLPIC取得を技術者の育成における一つの目安にしています。池田氏
LPICは、資格を取得した技術者が問題を作る側に回ることが可能です。また、新しい技術への対応に対し、OSSの視点で技術者を育てることが今後重要になってきます。そうした際に有効な資格だと思います。Face to Faceの関係を築く 期待高まるパートナー制度
システム開発企業ビジネスパートナー制度の概要と参加へのメリットを教えてください。池田氏
エルピーアイジャパンは、アカデミック認定校制度で28団体39拠点の教育機関との連携、プラチナスポンサー制度による大手企業との連携を行ってきました。そこで、次のステップとして、システム開発企業やSIerなどを対象に、部門単位、製品単位で協業体制を構築していく「システム開発企業ビジネスパートナー制度」を開始しました。また、上級資格レベル3開始に併せてスタートしたことも、裾野を拡大する狙いのひとつです。パートナー企業にとって、マーケティング活動の支援や情報提供、さらにLinuxビジネスにおいて対外的な優位性を発揮します。制度開始から約1年が経過し、今後は情報交流の場を提供するほか、マッチングコーディネートによって、パートナーがウィン-ウィンの関係になれればと考えています。赤井氏
7月に加入したのでまだ日は浅いですが、加入したメリットは、新しい動向や技術者に対する取り組み、ニーズを掴める点です。自社だけでは気づかないことも、他の企業が参加する団体に入ることで全体の情報が把握できます。また、Face to Faceの関係によってシナジー効果も望めます。浜口氏
個人的にLinuxがビジネスになるまで厳しかった経験を踏まえ、マーケットを活性化するために協力させてもらいたいという思いを強く抱いています。今後は、技術者が不安に思っていることを聞ける、話せる、社外との交流の場、技術者同士の触れ合いの場を作ってもらえればと期待しています。それが下支えしてマーケットが広がっていけばいいですね。小林氏
まだ参加している企業が少ないですが、参加企業を増やして企業間で情報交換の場として活用できたらいいなと思います。資格自体もブランド力が高まり、エルピーアイジャパンの知名度も向上していけば、参加するパートナーの価値も自ずと向上していくでしょう。期待しています。池田氏
現在、21社のパートナー企業を、来年後半には50社くらいに増やせるように活動しています。そのためにもまず2008年には、Face to Faceで自由に話せる懇親会や交流の場を設けていきたいと思います。パートナー制度による裾野の拡大、それに伴うLPICの国内受験者数、資格認定者(レベル1が2万3000人、レベル2が5500人:2007年11月現在)の増加、今後のエルピーアイジャパン、LPICの動向は要注目です。
(週刊BCN 2008年1月7日号掲載) ●LPI-Japan プラチナ・スポンサー企業(五十音順)アイエスエフネット、NEC、NEC ソフト、ケンソフト、コンピュータマネジメント、ターボリナックス、日本SGI、 ピーエイ、日立製作所、富士通、ミラクル・リナックス、リーディング・エッジ社、リナックスアカデミー、リンク、レーザーファイブ 以上15 社。 ●LPI-Japan ビジネスパートナー企業(加入順)リンク [AT-LINK 専用サーバ・サービス]、NTTデータ、首都圏コンピュータ技術者、電算サービス、シーシーダブル、デル、日本ビジネスコンピューター、VA Linux Systems Japan、アルク、ホンダヱンジニアリング、オープンソース・ソリューション・テクノロジ、日本ヒューレット・パッカード、フリーウェアソリューション、応用電子 [AB. Linux]、パソナテック、SRA OSS, Inc. 日本支社、マイクロテクノロジー、アキバワークス[ITエンジニア専用の案件紹介サイト]、メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア・コンソーシアム、日本ユニシス、ノベル 以上21社 2007年12月10日現在 |
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