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<プリンティングソリューション特集> 第二部 プリンティングソリューション 前編

2008/03/17 19:56

週刊BCN 2008年03月17日vol.1227掲載

キヤノンマーケティングジャパン
スペックだけでは顧客は振り向かない MFPとのシナジーを生むシナリオをパートナーと共に提供

■SIerに注力し、業務系が好調

 「昨年は業務系のモノクロプリンタが好調でした。販売パートナーのシステムインテグレーター(以下、SIer)様に対するサポートを強化するなど、安心して販売していただける体制の整備に注力しています」と、ビジネスプロダクト企画本部・ページプリンタ商品企画部の峯好文部長は2007年度を振り返る。キヤノンマーケティングジャパンは、もともと業務系に強く、この市場を開拓してきたパイオニア。その市場に対し、改めててこ入れを図ることで台数ベースで大きく伸長した。この施策は08年も継続し、SIerへのアプローチを強化していくとのことだ。一方、一般OA用途でのプリンタ市場については、チャネルごとに個別の戦略を立てている。

 市場としてSOHOやSMBなどが活性化しつつあり、好調なベンダーもある。この市場に対しては、特徴のあるA4カラー機など豊富なラインアップを、量販店などの流通チャネルを通じてアプローチし、市場のすそ野を広げていく。

 またオフィス系は、事務機ディーラーなどを相手に、MFPを中心とした最適配置を訴求する。しかし「MFPへの集約は底を打っている」と峯部長は市況を見ている。理由は、ファックス、コピー、プリンタなどを1台に集約しコストメリットを訴求する提案の結果、故障などの障害時には「何もできなくなる」という状況も少なからず発生しているからだという。しかし複数台の購入は間違いなくコスト増になる。この課題は顧客企業も体験しており、MFPを中心としLBPも含めた最適配置に対するニーズが高くなっている。

 「MFPは、すでにビジネスに必要不可欠な機器となっています。そこで、MFPの提案の結果、LBPのニーズを顕在化させるような、シナジーを生むシナリオを考え、お客様の生産性を向上させる提案を行っていきます」(峯部長)とのことだ。

■スペック競争ではなく、生産性の向上がキーワードに

 プリンタなどは速度やコストなどスペック上の機能競争が激しい市場だ。しかし、スペック競争だけでは、顧客が振り向かなくなっている。内部統制の整備という必要性もあり「生産性の向上」というキーワードがより重視され始めているのだ。

 一例だが、キヤノン製品の場合、MFPやプリンタにキヤノン製の自社エンジンを採用している。他社の場合、製品によってエンジンが異なるケースがあり、プリンタドライバなども製品ごとに別のものを利用しなければならない。印刷設定の画面設計なども異なり、印刷のためだけに異なる操作を強いられる。

 しかし、キヤノン製であれば、同一ドライバのため、詳細設定などが同一の操作になり、出力先が変わってもスムーズに印刷できる。「非常に細かいことではありますが、こうした部分を改善し、積み重ねていくことが、作業効率・生産性に大きく影響してきます」(峯部長)。

 パートナー企業の提案力を高める施策も行われている。キヤノンマーケティングジャパンでは、効率的な機器の配置やレイアウト、セキュリティ対策などが見学できるライブオフィスを用意している。そこで、学習会を通じてパートナー企業が「気づく」ことで、その後の提案力が大きく変わるというのだ。つまり、ユーザーの課題にあわせて商材を提供することがパートナー企業に求められているのである。

 「原油高やサブプライムなどにより、非常に厳しい情勢ではありますが、こういうときだからこそ、地に足をつけていかなければと思っております。パートナー様とは、情報を共有し、お互いにメリットのある関係を築いていきたいと考えていますので、どんなことでも遠慮なく相談してください」と、峯部長はパートナーに対してメッセージを送る。

キヤノンマーケティングジャパン=http://canon.jp/

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