Special Issue

Windows Server 2008特集(上)

2008/04/28 19:56

週刊BCN 2008年04月28日vol.1233掲載

デル
ユーザーの課題に応えるサーバーOSがついに登場
柔軟・堅牢で高い管理性を有する Windows Server 2008への期待

 Windows Server OSとしては5年ぶりのメジャーアップデートとなるWindows Server 2008。信頼性・パフォーマンスなどサーバーオペレーションシステムに求められるニーズに応えつつ、最新テクノロジーを採用し、新機能も多数追加している。セキュリティやサーバー仮想化テクノロジーなども組み込まれているほか、管理や診断の機能も強化されている。x86を使ったサーバー、クライアントPCを投入してきたハードベンダーであるデルのソリューション&アライアンス マーケティング本部・マイクロソフト・アライアンス マネージャーの布谷恒和氏に話を聞いた。

すべての「PowerEdgeサーバー」でWindows Server 2008対応済み

 「“Longhorn”と呼ばれ、IT業界全体でも待ち望んでいたWindows Server 2008がようやく出荷となります。Windows Server OSに望まれていたさまざまな機能が取り込まれており、さらに日本の顧客からのフィードバックも実装されていて、非常に大きな期待を寄せています」と、ソリューション&アライアンス マーケティング本部・マイクロソフト・アライアンス マネージャーの布谷恒和氏は語る。

 

 つまり、Windows Server 2008は、従来のWindows Server 2003からさらにきめ細かく顧客のニーズに応えるための機能強化が施され、規模や用途などより幅広く使えるようになった「非常にバランスのとれたサーバーOS」(布谷氏)なのだ。

 

 デルは、現在提供しているすべての「PowerEdgeサーバー」現行製品で、Windows Server 2008の供給を可能としている。Windows Server 2008のメリットをあらゆるユーザーに提供する下地は、すでにできあがっている。

新機能の中でも仮想化、NAPに注目

 新機能として布谷氏が注目しているのは、なんと言っても仮想化テクノロジーだ。Windows Server 2008 には、サーバー仮想化テクノロジーの「Hyper-V」(2008年4月現在は製品候補版)が組み込まれており、追加コストなしに、容易にサーバー統合を実現することができる。機能の有効化や仮想マシンの設定、管理コンソールなどが一段と分かりやすくシンプルに操作できるようになっている。

 「当社でも、仮想化技術を担当するエンジニアが“Hyper-V”の検証を行っています。“Hyper-V”は、確かに仮想化の基本的な機能のみを提供するものですが、既存の仮想化ソフトウェアと比べても遜色のない使い勝手であるということがわかりました。検証はベータ版で行いましたが、パフォーマンスや動作も問題なく、非常に安定して稼働しています。この仮想化技術がWindows Server OSに実装され、導入から設定、運用、保守まで、マイクロソフトの世界の中でシンプルに使えるということは非常にメリットが大きいと感じています」(布谷氏)。

 これまでの仮想化ソリューションは、高機能で、負荷分散や動的な運用ができる大規模システム向けのものが主流だった。そのため、それなりのソフトウェアコストや導入コストが必要となり、またサーバーも事実上仮想化専用機になるため、仮想化の導入計画を綿密に行わなければならなかった。

 しかし、今回新たにWindows Server OSに仮想化機能が実装されることで、ユーザーは仮想化について必要以上に意識することなく導入が行え、これまで以上に柔軟かつシンプルに仮想化技術を利用できることになる。

 「どんなシステムでも、すべてのサーバーが仮想化されるわけではないと考えています。物理サーバー環境と仮想サーバー環境は、必ず混在します。Windows Server 2008に実装された“Hyper-V”を活用すれば、混在環境の両方を構築・サポートすることができます。開発・テスト環境から本番環境まで、必要に応じて、サーバーごとに仮想化を活用できるというメリットも大きいと思います。Windows Server 2008を利用すれば、非常に柔軟にシステム構築が可能となります」(布谷氏)。

 「Hyper-V」の製品版は08年8月中に出荷予定となっているが、それまでにテスト環境などで事前検証し、実運用に向けた検証テストをするのもいいだろう(製品版は、更新モジュールとして提供される予定)。

 また、接続するPCについて検査と認証を行う「検疫ネットワーク」を実現する“ネットワーク アクセス プロテクション(NAP)”も、もうひとつの大きな機能強化点。社内のセキュリティ確保において非常に重要なシステムだ。「Windows Server 2008にはNAPの機能が標準で組み込まれており、クライアントとしてWindows Vistaを使用すれば、NAPエージェントが標準搭載されています。Windows Server 2008とWindows Vistaを組み合わせれば、追加コストやエージェントの配布作業なしで検疫ネットワークを構築することができるのです」(布谷氏)。

 クライアントからサーバーまで幅広くソフトウェアを提供するマイクロソフト社は、デルにとって最も重要なパートナーなのである。デルによると、セキュリティ、運用コスト、ビジネス生産性向上の面からサーバーとクライアントPCは今まで以上に密接に連携したシステム構築が求められるという。

Windows Vistaと組み合わせ より多くのメリットを提案

 Active Directory構築やセキュリティの強化、あるいはExchangeやMOSSなどのメッセージング関連システムの導入に関しても、必ずクライアントPC側の対応というものが発生する。サーバーとクライアントはあらゆる面で強く影響しあうのだ。なかでもWindows Server 2008とWindows Vistaは、もともとは1つの開発プロジェクトである。そこから派生していったため、ネットワーク、セキュリティ、管理など、多くのテクノロジーを共有している。「これから、新規に導入するサーバーはWindows Server 2008になっていくでしょう。弊社では、Windows Server 2008に関するエンジニア教育をすでに実施しており、コンサルティングやサービスの提供に備えています。もちろんWindows XPからVistaへの移行についても同様です。必要な機能がオールインワンで提供され、相性も優れるWindows Server 2008とWindows Vistaとの組み合わせは、システムを強化しつつシンプル化するうえで最適であり、何よりも両方のプラットフォームを提供するデルの強みをより生かせると感じています」(布谷氏)。

 Windows Server 2008は、これまでの課題をくみ取り、フィードバックされた強力なOSといえそうだ。Windows Server 2008の登場で、Windowsの新しい市場がより広がっていくだろう。


デル=http://www.dell.com/jp/

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