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<オフィスプリンタ特集>多様化するニーズに応える多彩なソリューション

2008/10/24 19:56

週刊BCN 2008年10月20日vol.1256掲載

 ビジネス環境のIT化が進む現在も、すべての業務をデジタル化できるわけではない。取引先とのやり取りや社内のワークフローなど、ビジネスの現場では「紙」の需要は高い。デジタルデータを「紙」に印刷する際に活躍するプリンタのニーズは、時代の変化とともに変化し、多様化している。今プリンタに求められているのは、基本機能に加え、セキュリティや用紙対応力だ。オフィスプリンタ市場の現状を追った。

基本性能と共に重視される「セキュリティ」や「用紙対応力」に注力

情報の出力先である「紙」のセキュリティ確保は必須に

 業務プロセスの効率化を進めるには、ITの利活用は非常に効果的だ。業務プロセスを効率化させることで、業務効率の向上に加え、顧客サービスの品質向上も期待できる。そのITと従来の業務のやり方をつなぐのが「紙」であり、その出力を受け持っているのがプリンタである。

 従来プリンタは、基幹業務の出力先として活用されてきた。そのため、高速に情報を印刷することに主眼が置かれており、モノクロページプリンタがメインに利用されてきた。最近ではカラーページプリンタの印刷速度の向上やイニシャルコストの低減などの要因により、モノクロページプリンタをカラーページプリンタにリプレースするケースも増えている。基幹で使われているモノクロページプリンタをカラーページプリンタに変えることによって、基幹からの出力とオフィス用途での出力を兼ね備えることができるというメリットもある。

 「情報」の「出力先」である「紙」には、多くの「情報」が書き込まれている。NPO 日本ネットワークセキュリティ協会がまとめている「2007年度情報セキュリティインシデントに関する調査報告書 Ver.1.3」によると、情報漏えい媒体・経路比率(件数)は、紙媒体=40.4%、Web・Net=15.4%、(3)USBなど可搬記録媒体=12.5%、(4)PC本体=10.9%――となっている。また、情報漏えい媒体・経路比率(人数)を見ると、(1)紙媒体=55.5%、(2)USBなど可搬記録媒体=38.7%、(3)PC本体=2.6%、(4)Web・Net=1.9%――となっている。「紙媒体」の比率が高いのは、保管資料を大量に誤廃棄した大規模インシデントが大きく影響していると考えられるが、かなりの人数が漏えいしているのは事実である。

 「印刷」を考えるときには、出力される情報の「セキュリティ」確保が必須となっている。「セキュリティ」という観点でもっともオーソドックスな機能は、おそらく「地紋印刷」だろう。これは印刷物の「地紋」に「コピー不可」などの情報を埋め込み、複写時に浮き出るようにするもので、情報漏えいの抑止効果も期待でき、多くの製品が対応を図っている。また、印刷時に「認証」を行うものもある。この場合、印刷データは、プリンタ側に一時的に蓄積され、「認証」された後に印刷の処理を行う。この場合、取り忘れなどによる情報漏えいも防止できる。「認証」についても、パスワードを入力するものや社員証などの非接触ICカードを活用するものなどさまざまだ。

業種・業態のニーズに応えるには用紙対応力が重要

 また、「生産性の向上」という課題にも応えられなければならない。そのためには、「スピード」「耐久性」「拡張性」という基本機能の強化が求められる。プリンタメーカー各社は、これら基本性能を向上させるべく、激しい開発競争を行っている。ファーストプリントやウォームアップタイムが従来モデルより向上した新製品が続々提供されるのも、そのような理由からだ。それに加えて、「用紙対応力」も求められ始めた。プリンタは、さまざまな「紙」に対応することが求められ始めている。封筒などの特殊紙や厚紙、長尺紙などへの印刷が必須というケースも多い。しかし、これらの「紙」への対応は容易ではない。一部のページプリンタでは実現しているが、そのような機種はまだまだ少ないというのが現状だ。

 そこで注目されているのが、ビジネスインクジェットプリンタだ。インクジェットプリンタは、インクを用紙に吹き付ける「非接触印刷」を採用しているため、トナーを定着させるために発熱を余儀なくされるページプリンタと違って、窓付封筒やラベル紙、厚紙など、幅広い用紙に容易に対応できる。

新しい提案でニーズの掘り起こしを狙う

 「環境配慮」はビジネスにも影響を与え始めており、これから法的規制が強化されることも考えられる。例えば東京都では、オフィスビルやデータセンターなどの大規模事業所に対してCO2の排出削減を義務づける「環境確保条例」改正案が可決されている。このような動きは、今後、活発化していくだろう。

 発熱させる必要がないインクジェットプリンタは、消費電力の低減にも寄与する。製品にもよるが、ビジネスインクジェットプリンタは、一般的なページプリンタの1割程度の消費電力で稼働するのだ。数多くのプリンタを導入している企業の場合、ビジネスインクジェットプリンタにリプレースするだけで、大幅なエネルギーコストの圧縮を実現できるだろう。

 A3出力ニーズを開拓しようとするメーカーも出てきている。これまでも、SOHOや中小企業にはA3出力ニーズがあった。

 しかし、A3機は、センタープリンタとして活用される高速機がメインで、SOHOや中小企業にとって、それほど大型のプリンタは導入できなかった。こうした課題に対し、インクジェットプリンタをベースにしたA3機を投入することで、イニシャルコストを抑える提案をしているベンダーが登場し、一定の成果をあげているようだ。今後のプリンタ市場を活性化する動きのひとつとして、SOHOや中小企業をターゲットとしたA3ニーズの掘り起こしを検討するメーカーが増加する可能性がある。

サポート・サービスも重要な要素に

 製品の性能や特徴だけではない。サポート・サービスも重要な要素になる。プリンタは、重要な情報を出力する機器だ。プリンタが停止すると、ビジネスが滞るという企業は少なくない。特に流通系では、帳票の打ち出しが停止してしまっては、業務自体が止まってしまう。そのため、サポート・サービスが非常に重要視されている。プリンタにおいてもダウンタイムが少ない方が、顧客にとってメリットが高い。そのため、リモートによる監視を行っていたり、故障時には全国どこでも数時間でエンジニアを派遣するという体制を整えているメーカーもある。これからは、製品力に加え、サポート・サービスが、プリンタを選定する際の基準になってくるだろう。

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