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<シンクライアントソリューション特集>シンクライアントシステム「導入のフェーズ」に

2008/10/29 19:56

週刊BCN 2008年10月27日vol.1257掲載

 シンクライアントシステムが、いよいよ導入のフェーズに入った。今年に入って案件が急増し、市場は拡大し続けている。シンクライアントシステム導入が進むなか、「認証基盤」の強化や「なりすまし」などの脅威への対策が必須となってきた。こうした脅威に対抗する有効なソリューションとしては、どのようなものがあるのだろうか。新たな課題に応えるシンクライアント市場の現状を追った。

シンクライアント環境における「認証基盤」の重要性とは

本格的に「導入」され始めたシンクライアントシステム

 シンクライアントシステムを本格的に導入する企業が増えているようだ。メーカーや販売店に話を聞いてみると、シンクライアントシステムの案件は増加傾向にあり、「いよいよ導入のフェーズに入った」と感じているとのことだ。

 シンクライアントシステムは「画面転送方式」「仮想PC方式」「ブレードPC方式」などいくつかの方式が提供されているが、ユーザーの手元に情報を置かず、情報を一元的に管理できるという機能についてはいずれも同じだ。USBメモリなどの可搬性媒体経由での情報漏えいを防止できるため、セキュリティの向上が期待できるほか、情報を集約できることから、管理性の向上も期待できる。

 しかし、シンクライアントシステムにしたからといって万全のセキュリティが整うわけではない。情報の一元管理を実現するという部分では十分な効果が見込めるものの、なりすましなどやネットワークを悪用した情報の持ち出しのリスクについては安心できない。セキュリティリスクを低減させるために、認証基盤を強化したり、ロギングツールを導入するケースが多いようだ。

移行時の混在環境下の管理・運用工数の増大が課題に

 シンクライアントシステムが、全社一斉に導入されるケースはまれだ。導入コストがかかることに加え、シンクライアントシステムの運用ノウハウの蓄積がないためだ。多くの場合、一部の部門に導入し、運用ノウハウを蓄積しながら順次拡大していく。この際、既存の環境とシンクライアント環境が混在する期間が存在する。その間、管理工数が増大してしまい、管理者負担増を招くことがある。また、セキュリティツールなども既存環境とシンクライアント環境の両方をサポートするものは少ない。そのため、双方に別のソリューションを導入し運用しているケースが多い。この場合、それぞれの環境を個別に運用・管理しなければならなくなるので、余計な手間がかかる。

 今後、シンクライアントシステムへの移行はさらに進むだろう。その際、移行後のメリットを提案するだけでなく、移行時についても同様に提案する必要性が生まれてくる。混在環境下で一元管理を実現するツールを組み合わせることにより、競合との差別化も可能となる。そこから、新たなビジネスチャンスが生まれることだろう。

各社のソリューション
エントラストジャパン / ソリトンシステムズ

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