Special Issue

<特集 仮想化とシステム統合>キーワードは、「システム統合」

2009/02/19 19:55

週刊BCN 2009年02月16日vol.1272掲載

増え続ける情報が企業課題に

システムを見直して「全体最適化」するチャンス

 最近のIT市場では「システム統合」が大きなキーワードとなっている。1990年代後半から起こったオープン化というトレンドにより、コスト削減、生産性向上を目指し、IT化が急速に進んだ。その結果、非効率で管理しにくい企業システムができあがってしまったのだ。こういった企業システムの場合、コストやリスク管理、ガバナンスなどの問題が潜んでいるケースがたいへん多く、その解決策として企業システムの全体最適化が求められている。

 一方で、昨今の世界的な不況は多くの企業を直撃している。コストを抑えつつ売り上げの最大化を実現する目的で、企業のITによる効率化はさらに推し進められ、「情報は増える」傾向にある。限られた予算で増え続ける情報をどのように管理していくのかということは、すでに大きな課題になっている。

 EMCジャパンでは、全体最適化を実現する手法として「ストレージ統合」を推進している。「企業規模にかかわらず、ストレージ統合を実施すべき時期に入っています。その際、企業のあらゆるシステムから接続できるように、イーサネットやファイバチャネルなどのインターフェースはもちろん、複数のプロトコルに対応する必要があります」と、マーケティング本部・プロダクト・マーケティング・マネージャの雨堤政昭氏は指摘する。

 さらに同社では、次のステップとして、ストレージ統合後の「階層化」を推進している。ストレージに保存される情報には、頻繁にやり取りされ、より高速なパフォーマンスが求められるケースもあるが、すべてのデータにパフォーマンスが求められることはない。これらの用途に応じて、高速なフラッシュドライブやSAS、SATAなどのドライブを組み合わせて利用することで、さらなる効率化やコスト削減が可能になるからだ。

 また、「仮想化」という取り組みも推進している。現在、VMwareなどを活用したサーバの仮想化が進められているが、サーバだけでなく「容量の仮想化」も有効な手段として注目されている。「これまでは、数年後にどれくらいの容量が必要になると予測し、ストレージを導入していました。その結果、過剰なプロビジョニングが行われることも少なくありません。必要に応じて容量を追加できれば、より効率的な運用ができます。そこで、当社では仮想プロビジョニングを提案しています。物理的に割り当てられているストレージよりも多くの容量をストレージアレイに割り当てることで、効率的に利用できるようになります」(雨堤氏)。

重複データを除外し高効率を実現へ

 さらにバックアップ、リカバリ、アーカイブといった部分にも、EMCジャパンはメスを入れる。全体最適化を行う際、バックアップを含めた取り組みを行う必要があるからだ。事業継続やガバナンスの観点から、バックアップやリカバリを導入・運用している企業は多い。しかし、世代保存を行うために、バックアップデータの多くは重複し、同じデータを何度もバックアップしているのが実情だ。日々急増していくデータに対し、現状のままで対応するのは難しい。そこで同社は、「アクティブアーカイビング」を推し進め、バックアップ/リストアの高速化やパフォーマンスの向上、効率的にストレージを活用する方法を推奨している。

 また、「EMC Avamar」という「重複除外バックアップ」技術を活用することで、データ量を最大50分の1程度まで削減し、バックアップにかかる時間を短縮することにも成功している。「サーバの仮想化を行うと、物理サーバ1台に複数台のサーバが稼働することになり、バックアップがボトルネックとなります。その際、“Avamar”は非常に有効な技術となります。統合・階層化・仮想化・アーカイブ・重複除外といった技術を活用していけば、エネルギー効率の向上とともに、より効率的にデータが保存できるようになるでしょう」(雨堤氏)。

 EMCジャパンは、ストレージの専業メーカーとして、改めてストレージのあり方を見直し、新たな提案を行っている。「情報インフラ全体最適化」という課題に対する解として、同社の提案は大きな役割を果たすことになるだろう。今後の展開に注目したい。
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外部リンク

EMCジャパン=http://japan.emc.com/