【上海発】京セラコミュニケーションシステム(KCCS、黒瀬善仁社長)の中国現地法人である京瓷信息系統(上海)(KCSS)は、このほど新たな戦略商材として、中国市場での利用に特化した人事勤怠管理パッケージ「GROW-SEE」を製品化した。現地の日系企業を主要ターゲットとして、今秋に販売を開始する。

高まる人事勤怠システム化の要望

柏木 剛
総経理
 KCSSは、京セラコミュニケーションシステムグループ初の海外子会社として2001年に設立。日本向けオフショア開発をベースに事業基盤の確立後には、中国の京セラグループ拠点・工場向けITサポートへと手を広げ、現在はグループ外の日系企業に対するITサービス事業にも注力している。15年度(15年12月期)の売上高は、オフショア開発が2割、京セラグループ向けが6割、日系企業向けが2割の構成比で、安定した経営を実現した。

 14年には、日系企業の支援事業をさらに強化するべく、現地発の戦略商材として、グループ会社向けの案件で培ってきた経験・ノウハウをもとに、販売管理パッケージ「GROW-PBS」を製品化した。15年から本格提供しており、柏木剛総経理は、「セミナーなどを通して多くの引き合いをいただき、手ごたえを感じている」と感触を語る。すでに、GROW-PBSはファーストユーザーへの導入も完了済みで、現在はさらなる品質向上を目指して機能強化を進めている。

村岡 幸介
上海営業部
外販営業課
副課長
 今秋に販売を開始するGROW-SEEは、こうしたGROW-PBSの販売活動を推進するなかで、顧客から人事勤怠管理に対する要望が多く寄せられたことを受けて製品化した。村岡幸介・上海営業部外販営業課副課長は、「人事勤怠管理に関しては、製品開発前から月に5件ほどの引き合いをいただいている状況だった」と振り返る。中国の日系企業では、国内の人件費の高騰などを受けて、これまで手作業で行っていた業務をシステム化し、コスト低減や業務最適化を図ろうとする機運が高まっているのだ。とくに、人事勤怠管理に関してはタイムレコーダーなどの簡易的な仕組みを設置してはいても、本格的なシステムは未導入の企業がほとんど。しかも、タイムカードのなりすまし防止や、残業時間の適正な管理、ジョブローテーション時の業務履歴確認など、日系企業のマネジメント層が人事勤怠の管理業務で抱える課題は多い。

中国の日系企業に必要な機能を製品化

岑 康萱
副総経理
 こうした要望をもとに、GROW-SEEはKCSSが過去の案件で開発した人事勤怠管理システムから、多くの日系企業で必要となる機能を抽出して製品化した。日系の製造業などでは、1万人以上の人員を抱える企業も少なくないことから、大規模人員に対応する処理性能を実現。岑康萱・副総経理は、「これまで2週間かかっていた1万人分の給与計算を効率化し、2時間程度に短縮することができる」と自信をみせる。また、製造業の工場や流通・サービス業の店舗では、夜勤などの勤務時間が固定されていないシフト体系が組まれるケースが多いことを考慮して、複雑なシフト体系にも対応した。

 さらに、中国の日系企業ではコンプライアンスの強化が重要な課題となっていることから、セキュリティ対策として認証権限や承認権限などの機能も備えた。また、情報漏えい対策として、データにアクセス制限を設けるとともに、人事部門、ユーザーそれぞれが専用のインターフェースを利用することで、コアデータを保護している。言語については、中国人の管理者に加えて日本人のマネジメント層でも容易に扱えるように、メイン画面だけでなく細部にまで日本語・中国語の多言語に対応させている。

 中国発のパッケージシステムであるため、人事に関する中国独自の法制度にも適合しており、ユーザーの各拠点・各人員に合わせた設定が可能だ。この他にも、他社製品との強力な差異化要因として、人事/勤怠データの分析機能を搭載している。岑副総経理は、「地域別・年齢別の離職率などを分析して人事管理の見える化を実現し、業務上最も効率的な人員の配置につなげることができる」と説明する。

 KCSSでは、業種・業態を問わず、営業範囲としている上海と華南エリアを中心にGROW-SEEを提案していく方針だ。村岡副課長は、「人事勤怠は、どの企業でも必要になる業務。しかし、中国では担当者の属人業務になっていて、残業代などはきちんと管理できていないケースが少なくない。システム化を通じて業務プロセスを適正化し、業務効率化につなげていただきたい」とアピールする。販売にあたって、価格割引などキャンペーンの実施も検討している。

 また、今後は生産管理システムのパッケージ化も進めていく。これによって、販売管理・人事勤怠管理・生産管理の各モジュールを取り揃え、将来的には統合ERP製品を提供するソリューションベンダーへと発展していく構想を立てている。柏木総経理は、「ITを通じてお客様の成長を支援させていただくだけでなく、当社もさらに製品を強化することで成長していきたい」と意欲を示している。