ユニークな機能を市場が評価

 クラウドファーストの時代を迎えているが、近年のオンプレミスの技術革新も目覚ましいものがある。とくに、迅速な導入や運用管理の容易さ、拡張性の高さなど、クラウドのような使い勝手のITインフラをオンプレミスで実現するハイパーコンバージドインフラ(HCI)の盛り上がりは、法人向けIT市場の大きなトピックの一つといえよう。大手ディストリビュータであるソフトバンク コマース&サービス(ソフトバンクC&S)も、こうしたトレンドをしっかりと捉え、主要メーカーのHCI製品を一次代理店として取り扱う体制を整えてきた。なかでも、日本ヒューレット・パッカードの「HPE SimpliVity 380」は、現在急成長中の注目商材だ。

前年度比250%超で伸びるHCI

 汎用のx86サーバーにストレージ、ネットワークを集約し、シンプルな構成を実現する仮想化基盤であるHCI。ソフトバンクC&Sは、HCIのパイオニアであり市場をけん引する存在でもあるニュータニックス、HCI市場の有力プレイヤーだったSimpliVityを2017年1月に買収したヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)、「VxRail」でヴイエムウェアを含むグループの技術を融合させたDell EMC、「HyperFlex Systems」を擁するシスコシステムズといったHCIの有力メーカーの製品、さらには、各サーバーメーカーから提供されるヴイエムウェア「vSAN」の推奨構成である「vSAN Ready Node」も含め、市場で有力な地位を占めるHCI製品を一通り一次代理店として扱っているかたちだ。
 
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HPE SimpliVity 380 Gen10
 
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ICT事業本部MD本部
プラットフォーム販売推進統括部
HCI&Storage販売推進部
部長
羽尾和弘氏

 同社のHCIビジネスの状況について、ICT事業本部MD本部プラットフォーム販売推進統括部HCI&Storage販売推進部部長の羽尾和弘氏は、「前年度比250%を超える勢いでビジネスが成長している。これまでのサーバー、SANスイッチ、ストレージという3Tierのサーバーインフラを高集約なHCIにリプレースされたいというお客様、そしてVDIの基盤としてHCIが最適と考えられるお客様など、ニーズも多様化している。サーバー、ストレージ、両方の課題を解決でき、HCIを採用することのメリットは多岐にわたる」と説明する。

 有力メーカーがしのぎを削る成長市場のHCIだが、売り手である同社からみてとくに勢いを感じるのが、国内では日本ヒューレット・パッカードが扱う「HPE SimpliVity 380」だという。サーバーには、「HPE ProLiant」サーバーを採用している。もともとグローバル市場では、SimpliVityはニュータニックスに次ぐHCIの有力メーカーだったが、日本市場では、HPEによる買収後に一気にプレゼンスが高まった感がある。羽尾氏は、「インフラ製品の領域では、SimpliVityの注目度がもともと高かったのは間違いない。ただ、それに加えて、HPEのProLiantを既存ユーザーが非常に多く使っていることもあり、導入を検討しやすい製品として市場に認識されたことが、現在の勢いにつながっている」と分析する。

 さらに、昨年、HPE SimpliVity 380はGen9からGen10にアップデートされた。これにより、「検討しやすいモデル、よりスモールスタートできる製品が増えて、市場ニーズによりあった製品ラインアップが拡充された」(羽尾氏)ことも、顧客層の拡大に貢献しているという。

ストレージ処理専用のハードを搭載

 HPE SimpliVity 380が市場の評価を高めている要因としては、製品としてのユニークさが受け入れられていることも大きい。ストレージ処理専用のハードウェアアクセラレータを搭載し、I/Oの劣化なしで、常時、重複排除とデータ圧縮ができる。ICT事業本部MD本部技術統括部第1技術部3課課長の熊谷哲人氏は、次のように解説する。
 
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ICT事業本部MD本部
技術統括部第1技術部3課
課長
熊谷哲人氏

 「重複排除、圧縮といったCPUにもろに負荷がかかる作業に対して、HCIで集約してしまったサーバーのCPUメモリリソースを使わず、占有でオフロードさせるためのエンジンを積んだハードウェアに処理を任せてしまったというのが非常におもしろい機能。多くの台数、似たようなマシンを複製することが多い仮想環境には非常に有効だ。また、SimpliVityは単なるハードウェアとしてのみではなく、純正のバックアップソフトもバンドルしたかたちで販売している。これはフルバックアップの概念しかなく、極端な話、前日との差分がゼロだった場合、100回バックアップを取れば、その重複排除率は100:1になる。バックアップストレージはサイジングが難しいが、そこをまったく気にせずに、ひたすらバックアップを取り続けても問題ない。プライマリデータの重複排除・圧縮に加えて、バックアップをほぼ無制限に取れるようになるというところの重複排除も非常に大きなポイントになる。そしてその機能をサーバーのCPUメモリではなく専用のボードに送るかたちになるので、その上で動いている仮想CPUメモリに対する負担もそのまま削減できる」。

 HPE SimpliVity製品の拡販にあたっては、パートナーに対して、導入支援のための体制を包括的に整えているという。技術面での教育はもちろん、PoC用の実機の貸し出しやエンジニアの派遣なども行っているほか、独自に製品を検証し、性能評価の結果なども共有している。羽尾氏は、「当社は、HPE SimpliVity認定パートナーとして今後、インストレーションサービスの提供開始も予定しており、パートナーのビジネス支援の範囲をさらに拡大していく」との方針を示している。