Dell EMCのハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)製品「Dell EMC VxRail(VxRail)」のディストリビュータであるネットワールドは2017年10月、ヴイエムウェア、Dell EMCと共同で、VxRail販売パートナーのコミュニティ「VxRailチャンピオンクラブ」を立ち上げた。半年後の18年4月には、VxRailチャンピオンクラブ@大阪もスタート。同クラブの狙いは、VxRail販売パートナーの提案力向上にある。体験と対話を重視したセミナーは毎月1回のペースで開かれている。

体験と対話主体のセミナーがディーラー/SIerの提案力を高めてくれる


●VxRailパートナーのコミュニティ
大阪でも2018年4月にスタート!


 HCIの代表的なブランドとして多くの企業・団体に採用されているVxRail。その販売に携わるメンバーによるコミュニティVxRailチャンピオンクラブが、17年10月に活動を開始した。基本的にはネットワールドのVxRail販売パートナー向けコミュニティということになっているが、実際の運営はそれほど閉じたものではなく、HCIに興味があれば誰でも参加可能である。

 ただ、当初は東京地区のみでの開催だったため、近畿圏など、他の地区のパートナーが参加するのは難しかった。そこで、ネットワールドはVxRailチャンピオンクラブの開催地を東西2か所に拡大することに決定。7回目(大阪地区としては初回)のセミナーとなるVxRailチャンピオンクラブ@大阪を18年4月20日、Dell EMC西日本支社セミナールームで開催した。主催はヴイエムウェア、Dell EMC、ネットワールドの3社。当日はセミナールーム満員の35人が参加した。

●すべてがDell Technologies製の
VxRailはTCOを確実に削減できる


 まず登壇したのは、VxRail運営委員会でSEを務めるネットワールド SI技術本部ストレージ基盤技術部ストレージソリューション1課の石塚智規氏。VxRailチャンピオンクラブの概要と東京地区における約半年間の活動状況を振り返るとともに、HCIの概要とVxRailの誤解されている部分についての真相を説明した。

 「そもそもハイパーコンバージドとは何なのか?」と語りかける石塚氏。諸説あるが、本質的には、「総保有コスト(TCO)を削減するための基盤こそがHCIである」と指摘する。HCIを選ぶことで、システムライフサイクルの全ステージ(検討→導入→運用→リプレース)にわたってコストや作業負荷を大幅に削減できるという。

 とはいうものの、HCIの各方式にはそれぞれの得意領域がある。石塚氏は、「『Dell EMC vSAN ReadyNodes』はどちらかといえばリファレンスモデル。構成を自由に選べるものの、自己責任も伴う。一方、Nutanixの『XCシリーズ』はハイパーバイザーとストレージアーキテクチャが疎結合になっているのが特徴だ」と分析。「アプライアンス(専用機)としてつくられたVxRailなら、全体をパッケージとして管理できる」とアピールした。

 一般に、HCIはハードウェア/ソフトウェア製品(IAサーバー、SDS、ハイパーバイザー)とプロフェッショナルサービス(設計とサポート)を組み合わせた統合基盤としてつくられる。VxRailの最大の特徴は、このすべての部分にDell Technologiesの製品とサービスが使われていることにある。IAサーバーはDell EMC製で、SDSには「VMware vSAN」、ハイパーバイザーには「VMware vSphere」が採用されており、設計サービスは「VMware Design」、サポートサービスは「Dell EMCで一元化したVxRailのサポート」を提供している。「すべてがDell Technologies製のため、VxRailは迅速かつ確実に導入でき、その後の運用もシンプル&スマート」と石塚氏。導入に要する時間は約1時間、システムのアップデートも1台あたり約15分、ディスク増設時の拡張処理も1ノードあたり約5分で済むという。

 ただ、16年の発表後、仕様と機能が段階的に拡張されてきたという経緯もあり、「VxRailは売りにくい」と誤解している業界人が多いのも事実。「そうした“噂”の多くは現時点では真実ではない」と石塚氏は強調した。例えば、VxRailに必要なストレージ容量は簡単な数式に当てはめることで算出できるし、vSphere 6.5/vSAN 6.6ベースの最新バージョンは前バージョンに比べて10~20%パフォーマンスがアップしている。今年3月からは、Dell EMCとヴイエムウェアの日本法人が共同でサポートの提供を始めた。

●次期メジャーバージョンとなる
VxRail 4.7は18年後半の見通し


 今後、VxRailはどのように進化していくのか──。次に登壇したDell EMC Senior Director VxRail EngineeringのRich LeRoy氏は、「Deep Dive」と題した講演のなかで、18年に予定されている機能強化の一部を“チラ見せ”した。

 現行の「VxRail 4.5」(17年9月)に続くメジャーバージョンは、「VxRail 4.7」。登場時期は18年後半となる見込みだ。VxRail4.7では顧客/パートナーからの要望に応え多くの機能強化が予定されている。また、「お客様のニーズや予算に合わせて選択できるように用途別のパッケージ提供も今後予定している」とLeRoy氏は強調した。

●ベンダーの提案力を高めるために
座学だけでなく体験や対話も重視


 「今回は勉強会のスタイルで開催したが、本来のVxRailチャンピオンクラブはワークショップやディスカッションをベースとするイベント。次回からは、ハンズオンやトラブルシューティングも積極的にやっていきたい」と石塚氏。7月に開催する「VxRailチャンピオンクラブ大阪夏の陣」では、「パフォーマンス検証のレポートをメンバーにフィードバックしたい」と意気込みを語る。

 VxRailチャンピオンクラブのそもそもの狙いは、VxRailの提案書を作成しているベンダーやSIerの“提案力”を高めることにある。Dell EMC(ハードウェア)、ヴイエムウェア(ソフトウェア)、ネットワールド(ディストリビュータ)の3者がそれぞれの得意分野における知見を持ち寄ることによって、ベンダーやSIerが抱える疑問点や問題点を解決しようとしている。

 ほぼ毎月開かれるセミナーでの具体的な活動は、座学(メーカーによる最新情報の解説やテーマごとの勉強会)、実体験(導入、アップデート、拡張などを実機で体験できるハンズオントレーニング)、ディスカッション(経験者からのフィードバック、コミュニティでの情報共有)の3つ。さらに希望者は、東京・西神田にあるネットワールドのプリ・インテグレーションセンター(PIC)に置かれたVxRailにリモート接続して検証が行える。

 将来的には、ネットワールドはVxRailチャンピオンクラブのメンバーを「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」の4レベルにランキングしてさまざまな特典を付与する意向だ。ブロンズのレベルはセミナーに2回参加すれば得られるが、シルバー以上のレベルを獲得するには販売、コミュニティでの情報発信などの実績が必要となる。

●毎月のセミナーではワークショップや
ライトニングトークを行っている


 大阪地区よりも半年ほど先行して活動を開始した「VxRailチャンピオンクラブ@東京」では、今年4月までに下記の6回のセミナーが開かれている。なお、各セミナーの講演資料はSlideShareで公開されている。

1 「VxRailチャンピオンクラブ発足セミナー」
(17年10月)

 東京・港区にあるヴイエムウェアの本社オフィスで開催。VxRailチャンピオンクラブの設立をお披露目するとともに、HCIのおさらいとVxRailの提案ポイントと提案のコツについて紹介した。

2 「VxRailワークショップ~入門編~」
(17年11月)

 「VxRail Eシリーズ」(オールフラッシュモデル)を使ったワークショップを開催。メンバーが導入から管理まで作業を一通り実際に体験した。具体的な作業項目は、電源オン、初期設定、ディスク追加、ノード追加、電源停止/再起動、アップデートのそれぞれ。

3 「Meetup! VxRail!」
(17年12月)

 Dell EMC vSAN ReadyNodesについて、すでに利用可能となっているソリューション、導入事例、ユースケースなどをミートアップ形式で紹介。ライトニングトーク(LT)のセッションでは、クラブ会員による「VxRailを扱うコツ」「MARVINプロジェクト」「新卒2年目から見たHCI」などの発表があった。

4 「お弁当付! VxRail & vSphere & vSAN最新情報満載のランチセミナー」
(18年1月)

 新登場のVxRail 4.5と、そのベースになっている「vSphere 6.5/vSAN 6.6」についての“What's new”をEMCジャパンとヴイエムウェアの担当者が解説。あわせて、「Meltdown」(Intel製プロセッサに潜むぜい弱性)と「Spectre」(x86などの広範なプロセッサに潜むぜい弱性)への対処に役立つナレッジベースを両社の担当者が紹介した。

5 「VxRail運用講座~トラブルシューティング編~」
(18年2月)

 普段は表に出ないDell EMCのサポートエンジニアを招き、「VxRailのユーザーからはこのような問い合わせを多く受けている」という体験談とその解決策を紹介した。さらにシュナイダーエレクトリックも登壇し、「vSANとUPSを連携させた停電対策ソリューション」を紹介した。LTセッションでは、ヴイエムウェアのエンジニアが「HCIBenchを使用したvSANのパフォーマンス検証」を、ネットワールドのマーケティング担当者が「VxRailの販売実績の状況とWhy VxRail」をスピーチした。

6 「豪華2本立て!VxRail開発責任者来日講演&ネットワーク仮想化(NSX)」
(18年4月)

 VxRail開発責任者のLeRoy氏が、VxRailの最新動向とマイルストーンについて講演。さらに、VxRailで実現できるネットワーク仮想化(NSX)ソリューション「VMware NSX」の活用方法について、ヴイエムウェアの担当者が具体的かつ詳細に解説した。

●取材を振り返って

 VxRailチャンピオンクラブの会員数名に話を聞いたところ、「自社リソースでは知り得ない情報を得ることができて、提案の幅が広がる」「手探りでやっているので、自分だけじゃないということがわかって心強かった」「初期セットアップのハンズオンがとくに役立った」「メーカーからの最新情報は提案書作成に役立つ」といったポジティブな感想がほとんどだった。今後の国内ビジネス拡大に、VxRailチャンピオンクラブは大きな効果をもたらしそうだ。