「パフォーマンス」「デザイン」「エクスペリエンス」「Microsoft Office」の四つの魅力を持つMicrosoftの「モダンPC」。企業の生産性向上と働き方改革を進めるための重要ツールとして、SB C&SはモダンPCのディストリビューションを積極的に進めている。では、法人ユーザー向けにどのようなモダンPCが提供されているのか――。今回は、「週刊BCN」11月11日号(vol.1800)の「SB C&Sとマイクロソフトが語る『モダンPC』の魅力」でSB C&Sがお勧めした3機種について、日本HP、レノボ・ジャパン、Dell Technologiesの3社が、モダンPCに向けた各社の戦略と“イチ押し機”を語った。

日本HP
テレワークを妨げる障壁を軽々と飛び越える軽量・堅牢なノートPC

 「『Dragonfly(トンボ)』は、動物として最も早く空に進出したと言われている。そこで、当社ではテレワーク時代に羽ばたくモダンPCの最新機種に、その名前を付けることにした」。日本HPのクライアントソリューション本部マーケティング・アライアンス担当マネージャーの松本英樹氏は、HP Elite Dragonflyという製品名に込めた思いをこう解説する。開発コンセプトは、「すべてを軽くする」こと。単に本体を軽量化するのではなく、テレワーク普及の障壁を軽々と飛び越えることができるような新機軸を仕様に取り入れたのだという。
 
日本HP 松本英樹
クライアントソリューション本部 マーケティング・アライアンス担当 マネージャー

 ポイントは、4点ある。まず、軽さと堅牢性のバランスをとったこと。マグネシウム合金を採用して本体の質量を1kg未満(最軽量モデル)に抑えつつ、継ぎ目のないCNC削り出し加工によって十分な剛性を確保した。松本氏は、「東京の満員電車では、PCに約200kgの圧力がかかるといわれている。HP Elite Dragonflyは、その2.5倍の約500kgfに耐えることができる」と胸を張る。機器の耐久性に関する米軍調達基準「MILSTD-810G」に関して19項目をクリアしているほか、自社独自の12万時間動作テストもパスしている。
 
HP Elite Dragonfly
※ペンはオプション

 また、ビジネスユースに欠かせないセキュリティ対策としては、指紋認証と顔認証の機能を標準装備。電子的プライバシーフィルター「HP Sure View」を組み込んだモデルも用意した。HP Sure View搭載モデルでF2キーを押すと画面の視野角が狭まり、左右から覗き込んでも表示内容が読み取れないようになる仕組みだ。深層学習AIを活用したマルウェア防御機能「HP Sure Sense」もプリインストールされているので、ゼロデイ攻撃に対する防御力も強い。

 第3に、オンライン会議での利用が多くなることを想定して、音量と音質にもこだわった。スピーカーからは80dB以上の音量が出せるほか、マイクには人の声だけを抽出するノイズキャンセリング機能を搭載した。松本氏は、「自宅からオンライン会議に参加するときでも、掃除機などの周囲の雑音をかなりカットできる」と語る。マイクはディスプレイパネルの裏側(天板側)にも設けられているので、周りの人の声もキャッチできる。

 第4のポイントとして、長時間のモバイル運用を可能にするバッテリーがある。バッテリー駆動時間は最大約24.5時間。約30分の充電でバッテリー容量を約50%にまで回復できる「HP Fast Charge」機能を備えているので、隙間時間で十分に能力を回復できる。

 通信周りの仕様は最新のWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に対応。LTE-Advanced搭載モデルも用意されている。このような特徴を持つHP Elite Dragonflyは、オフィス環境改革を実現するための一つに位置付けられる。その他、ミーティングスペースなどに設置するための「HP EliteDisplay 23.8インチドッキングモニターE243d」はHP Elite DragonflyをこのモニターにUSB Type-Cケーブルで接続すると、PCを充電しながらネットワークに接続したり、PCの画面をモニターに大きく表示したりといった使い方が可能だ。オフィス内でのコミュニケーション&コラボレーションを促進する効果が期待できる。

レノボ・ジャパン
PCは「創るツール」から「コラボレーションツール」へ

 「今年のLenovo ThinkPad X1 Carbonは、オンライン会議のしやすさを重視した」。レノボ・ジャパンのコマーシャル製品事業部ノートブック担当の吉原敦子氏は、モダンPCに対する取り組みのポイントをこのように説明する。「いつでも」「どこでも」コラボレーションするには、電話機やTV会議システムではなく、PCでオンライン会議に参加できることが求められているからだ。
 
レノボ・ジャパン 吉原敦子
コマーシャル製品事業部ノートブック担当

 例えば、ディスプレイを開いたときに上端となる位置には、360度全方位マイクが上向きに4基取り付けられている。「PCを使っている人の声だけでなく、周りに座っている人の声もきちんと拾える」と、吉原氏。また、自席から一人でオンライン会議に参加する場合と、多くの人が参加する会議室でのオンライン会議とで、音の拾い方を変えることも可能だ。
 
Lenovo
ThinkPad X1 Carbon(2019)

 スピーカーは、キーボード面にツイーター(高音用)×2、筐体底面にウーファー(低音用)×2の4基構成。ツイーターは2W(従来比2倍)の大出力なのでオンラインでのプレゼンテーションに臨場感と迫力を与えられるという。

 さらに、14.0型と大きめのディスプレイを搭載していることもThinkPad X1 Carbonの特徴の一つだ。「画面の作業領域が広いので、オフィス並みの生産性を移動中も維持できる」と、吉原氏。それでいて、質量は1.09kg(最小構成)、本体の薄さは14.95mmに抑えられており、女性のバッグにもスッと収まる。もちろん米軍調達基準もクリアしている。

 テレワークに欠かせないセキュリティ対策の仕組みもしっかりしている。ThinkPad X1 Carbonでは、ThinkPadシリーズに以前から搭載のカメラ用物理的スライドカバー「ThinkShutter」が、顔認証用の赤外線(IR)カメラモデルにも提供されるようになった。ディスプレイの視野角を狭くして左右からの画面覗き見を防ぐ「ThinkPad Privacy Guard」を搭載したモデルも用意されているので、オフィス外で重要文書を開くことが多いユーザーに使ってもらうといいだろう。

 このほか、ThinkPad X1 Carbonに装備されている入力デバイスも、テレワークでの生産性を高めるのに貢献している。快適なタッチを生み出すフルサイズキーボードの中央にあるのがカーソル操作のためのTrackPoint(通称:赤ポッチ)。これがあればマウスを持ち歩く必要がない。センターポジションから手を動かす必要がなく、指先だけでスクロールやドラッグができるので入力効率が良い。電車の座席で使う際も隣の人に気兼ねしなくてよいと、ユーザーの評価は高い。画面をより直接的に操作することを望む人のために、タッチパネル仕様のディスプレイも用意されている。

 ネットワークとしては、よりセキュアなLTEモデルを選択可能。LTEモデルには1年間のテレワーク保険が自動的に付帯しているため、万が一、情報漏えいが発生しても、一定額まで対応費用を補填する。「コラボレーションツールとして進化した、大画面かつ軽量薄型のX1 Carbonはセキュリティやモバイル性に優れ、テレワークにも最適でお客様のビジネスをサポートする」と吉原氏は強調する。

Dell Technologies
モダンPCの本義は生産性の向上とユーザーのビジネスを止めないこと

 「最も大事にしているのは、『お客様のビジネスを止めない』こと。そのため、モダンPCでは堅牢性を重視している」。こう語るのは、Dell Technologiesのクライアント・ソリューションズ統括本部フィールドマーケティングマネージャーの飯塚祐一氏だ。
 
Dell Technologies 飯塚祐一
クライアント・ソリューションズ統括本部 クライアント製品マーケティング本部
フィールドマーケティングマネージャー

 例えば、テレワークの文脈でキーワードとなることが多い「質量」――。Dellも過去に1kgを切るPCを作っていたことがあるが、世界180カ国でサービスと製品を提供することを考えて、現在は堅牢性に重きをおいていると説明する。
 
Dell Technologies
New Latitude 7400
2-in-1ノートパソコン

 米軍調達基準についても、Dellはより厳しい考え方で臨むと飯塚氏。Dellはスチール板にPCを落下させるテストや、PC本体の角が割れたり欠けたりしてもテストしてクリアとしないシビアなテストを実施しているので、実際のビジネス現場で遭遇する予期しないアクシデントがあっても耐えられる堅牢性を備えているという。

 また、ディストリビューター経由で法人ユーザーに納入されるPCについても、Dellはダイレクト販売で培ったノウハウで差別化を図る。各PCにはサービスタグ(個体識別コード)が振られているだけでなく、バッテリーなど個々のパーツにも20桁のピースパーツID(PPID)ですぐに判別できるようになっている。万が一、部品のリコールなどがあった場合、該当パーツを積んだPCを使っている顧客にピンポイントでアプローチすることができ、直ちに修理・交換が進められる。構成部品に対するトレーサビリティーを確立することによって、部品の不具合による顧客ビジネスへの影響も最小限に抑えている。

 モダンPCについて、Dellがもう一つ重視しているのはセキュリティ対策だ。例えば、Dell Latitude 7000シリーズ向けのプライバシーパネルオプションとして2019年6月に登場したのは「Dell SafeScreen」。電力効率を落とすことなく高いコントラスト比を実現することによって、画面の内容を周囲から覗き見できないようにする仕組みだ。

 また、最新のNew Latitude 7400 2-in-1には、世界初 PC近接センサー「Dell Express Sign-in」を搭載。席を離れたときに自動的に画面を消してスタンバイに移行し、逆にPCのそばに近づいたことを検知するとスリープ状態から稼働状態に自動的に復帰し、ディスプレイ上部に取り付けられた赤外線カメラでWindows Helloの顔認証を行うことによって、セキュリティの強度を下げることなく、ログイン処理を自動化している。

 同じくセキュリティの観点から、飯塚氏はテレワークでのインターネット接続にLTEを勧める。「LTEは、単独のネットワークなのでWi-Fiよりセキュア。どこでもつながりやすいため、ユーザビリティが高まって接続確立までの時間を短縮することで生産性が向上する」という。Dell Latitudeは、1モデルを除いてLTEを搭載。オフィス外で使用するのであれば、ぜひ検討すべきだろう。

 「働き方改革とは、生産性を向上させることが本来の目的であり、薄型軽量のPCは、ユーザビリティの向上に貢献するが、それだけでPCユーザーの生産性が向上するわけではない。モダンなOSであるWindows 10やクラウドなど、さまざまなソリューションと、New Latitude 7400 2-in-1などを組み合わせて、ユーザーの生産性を高めていく」と飯塚氏は意気込む。
 


日本HPhttps://www.hp.com/jp/dragonfly
レノボ・ジャパンhttps://www.lenovo.com/jp/
Dell Technologieshttps://www.dell.com/ja-jp/work/shop/デルのノートパソコン/sf/latitude-laptops