3日目の特別講演では、一般社団法人ソフトウェア協会・会長の荻原紀男氏が「日本のデジタル化に向けてソフトウェア産業ができることは?」をテーマに講演を行った。

ソフトウェア協会
会長
荻原紀男氏

 ソフトウェア協会では、「ソフトウェア製品に係わる企業が集まり、ソフトウェア産業の発展に係わる事業を通じて、我が国産業の健全な発展と国民生活の向上に寄与する」ことを目標を掲げる。荻原氏は「ソフトウェアの未来をつくることは、この国の未来をつくることになる」とアピール。ソフトウェア産業は今後、「デジタル化を支える産業」へと変わっていき、「企業の変革を共に推進するパートナー」「DXに必要な技術の提供者」「共通プラットフォームの提供主体」「新ビジネス・サービスの提供主体」のいずれかの役割を果たすことになるだろうと述べた。

 また、そのようなデジタル社会においてデータから仮説を導き出して課題を解決できる人材が求められるようになる。荻原氏は「組織が保有するデータと世界中に存在するデータを活用して課題解決に取り組む文化を醸成することが重要だ」と指摘。IT人材も、プログラミングだけでなく、世の中の流れをキャッチし続けることが重要だと説明した。

 ただ、IT人材は慢性的に不足している。「IT人材白書2020」(独立行政法人情報処理推進機構社会基盤センター)によれば、2030年には79万人ものIT人材が不足する見通し。その穴を埋めるには、これまでデジタルに触れていなかった就業者に仕事の仕方を変えてもらう必要がある、というのが協会の考えだ。

 デジタル社会においては、仕事の仕方をDX時代に合ったものへと変えていくことも求められる。従来のソフトウェア産業は、顧客の情報システム部からの発注に基づいて仕事をしていた。しかし、これから求められるのは「顧客との対等なパートナーシップに基づいて、同じ立場で課題を解決していくアジャイルチーム」(荻原氏)としての役割という。

 具体的には、顧客とソフトウェア産業の両方から集められたメンバーの活動をスクラムマスター(ファシリテーター役)とプロダクトオーナーがうまく取りまとめ、ビジネスオーナー/エンドユーザーや専門家などのさまざまなステークホルダーと協働して価値のあるソフトウェアをつくっていくやり方だ。「このような形でビジネス開発とプロダクト開発をチームでアジャイルに進めれば、不確実な時代にも対応できる」と荻原氏は強調した。